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羞恥小説1

2019年06月27日 23:02

「明日は、2人が初めてデートしたあの公園に行こうか、美里。」
慎二は、携帯に向かって話した。

「えっ嬉しいです。」
美里は久しぶりの慎二からの誘いに思わず笑みを漏らした。

@@

2人が付き合い初めてから半年が経とうとしていた。
きっかけは、美里の一目ぼれだった。
駅から大学に向かう道で慎二を見た時、美里の鼓動が高鳴ったことから始まった。

決まって朝の8時25分。横断歩道で毎朝すれ違うだけの関係から始まった。
毎日慎二にあうだけのため、一限の授業が無くても美里は8:25に大学に向かうようになっていた。

”何してる人だろう...”
大学に着いてからも慎二の事で頭が一杯になる。
当時は、名前すら知らなかった。

”幾つぐらいの人?”
一見すると、美里よりかなり上にも見えるが、若く見ようと思うと若くも思えた。
そんな一瞬のすれ違いの関係が数ヶ月続いた。

そんな中、美里の願いが天に通じたのだろうか、何時もの様に2人が交差点ですれ違った時だった。
慎二に視線を集中するあまり、美里は前方から近づいてくる人影に気づいていなかった。
「ドン。」

中年女性美里は肩をぶつけ、美里が転ぶ。
「あっ。」 美里が謝ろうとする前だった。
「ちょっと、何処見て歩いてるのよ!!」

別に倒れることもなかった女性が、おばちゃんパワーで押し切ってその場を去っていく。
”そ、そこまで言わなくても...”
美里がそう思った時だった。

美里の財布らしきものが、目の前に差し出される。
「君、これ落としたよ。」
美里が転んだ拍子に鞄から投げ出されたようだった。

美里は拾い主に視線を向けると固まってしまった。
毎朝すれ違うだけの、そのためだけに早起きした相手。その彼からの初めての言葉だった。
真近でみる慎二の顔は、美里の想像を遥かに超えていた。

”....”
美里の頭の中は動揺と期待で、混乱する。

「す、好きです。」
美里の言葉に慎二が戸惑う。落とした財布を拾っただけで、いきなりその相手から”好きです”と言われても、
誰しも驚くしかなかった。

ただ、変人扱いするには美里は綺麗過ぎた。
美里の吸い込まれるような瞳に、慎二は、無理やり自分を取り繕う。
「さ、財布落としたから...何か考え事?人間違い...聞き間違いかな。 ちょっとビックリした。」

慎二の声を美里は初めて聞き、その渋い声にまどろみそうになった時、美里は第一声で、とんでも無いことを
言ってしまった事に、お遅ばせながら気がつく。
”ど、どうしよう...いきなり私告ってる?!”

美里は何も言えず、慎二から財布を受け取る。
「気を付けて。」
慎二がそう言ってその場を立ち去ろうとした。

「すみません。拾って頂いて。」
美里は立ち去ろうとする慎二を引き止める。

”こ、これが最後のチャンスかも....もう話しもできないかも知れないのよ、美里!”
自分に言い聞かせる。
そして、美里羞恥を堪え、勇気を振り絞った。

「毎朝お会いしますよね....」
その言葉に慎二が、興味を示したように、美里に視線を向けた。
「それで、..それで好きになっちゃったんです!」

慎二も、先ほどの言葉が聞き違いでも、人違いでも無かったことを認識した。
「.....」
[.....」

2人は、何も言わず見詰め合ってしまった。
そんなタイミングで、車が交差点を横切ろうとする。

慎二が、交差点を渡るように、美里促す
慎二にしてみれば、来た道を戻る方向だった。

「その先の喫茶店モーニングが美味しいんだ。良かったら一緒にどう?」
美里にその誘いを断る理由など無かった。

喫茶店に入ると意外に話しが弾んだ。
お互いの趣味であったり、
美里とは10歳上の32才、小さな不動産会社を経営してること、たわいも無い話だったが、美里は幸せだった。
彼女が居ない事も遠まわしに確認できていた。

「そろそろ仕事行かなきゃ。久しぶりに若い子と話しができて楽しかったよ。」
慎二がそう言って腰を上げた。

「ま、また、会ってもらえませんか?」
美里が、猛烈なアタックをしていた。慎二もまんざらではなさそうだった。
「じゃあ週末、そこの公園はどう?」

この言葉から、2人は少しづつ近づいて行き、付き合う様になっていた。

@@

その公園に久しぶりに誘いを受けた美里は、嬉しかったが不安もよぎっていた。
携帯の先で、慎二の声がなんとなく暗かった。

「じゃあ明日。 慎二。お休みなさい。」
美里は携帯を切ると、この6ヶ月のことを思い出していた。

美里は何時でも慎二のことが好きだった。
ただ、2人の付き合いはプラトニックの付き合いだった。

それは美里が願った訳ではなかった。
始めは歳の差で遠慮してるのかと美里は思っていたのだったが、部屋で慎二にもたれかかって目を閉じても、
キスすら無かった。
慎二の部屋には、女の気配がある訳でもなかった。

”私...色気が無いのかしら...”
他人が聞いたら嫌味としか思えない、十分な色気と美貌の美里が、本当に悩んでいた。

もしかしたら慎二も同じ悩みを抱えてる?
美里は鏡の前の自分に話しかける。

”明日..明日、素直にお願いしちゃう?”
鏡の前の美里は、羞恥で顔を赤くしていた。

結局、美里は夢の中で慎二に抱いてもらっていた。
すっきりとした朝がやってくる。

美里デートのために、お気に入りの服を着て、公園に向かった。
少し早めに着いた美里だったが、既に慎二がベンチに座っている。

初めて2人で座ったベンチに美里慎二が並んで座った。
「おはようございます。」
美里可憐笑顔慎二に向ける。

おはよう。
慎二美里に淡白に答えた。

「良い天気でよかったわ。」
「ああ。」
「今日はゆっくりできそう?」
「....」

初めて会話した喫茶店の時より会話がぎこちない。
美里がそう思った時だった。
「もう僕とは会わない方が良い。」

慎二がつぶやいた。
「え! い、今なんて...言ったの?」
なんとなくは予測していたが、実際に言われると信じられなかった。

「もう僕とは会わない方が良いって....」
慎二は、何かを振り払うようにつぶやく。
「私の事、嫌いになったの?」
美里は、ありきたりの言葉しか出なかった。
うつむくだけの慎二にさらにたずねる。

「わ、私、魅力無かった?」
美里が一番気にしていることだった。
少なくとも標準以上とは自分でも思っていたが、10も年上慎二には、子供にしか写らないのかと思った。

「....」
その問いにも慎二は答えなかった。
「子供過ぎた?」
美里は自分が泣きそうになるのを必死に堪え、慎二の返答をまっていた。

そんな美里に、慎二真実を打ち明ける。
「子供となんて思って無いさ..とても魅力的だよ..ただ...言いにくいことなんだ。」
慎二が言葉を詰まらせる。

「なに?」
美里慎二を見つめる。

「僕は君と付き合う資格が無い男なんだ...美里には理解できないと思うけど、普通の女性には向かない男なんだ。」
美里はまったく理解できなった。
「普通の女性に向かないって...」
慎二の答えは、美里の想定を大きく超えたものだった。

美里と同じぐらいのころ、お付き合いした女性の...性癖が、不安定っていうか...
美里も聞いた事があると思うけど、苛められるのがすきっていうか、......
Mの子だったんだ。始めは付き合いで彼女に合わせてるつもりだったんだけど、
その子と別れた後で...他の子と付き合ったとき、思い知ったんだ。
俺も変態だったんだって..

それからもう女性とは付き合わないって決めたんだけど、突然、天使が舞い降りた様に、美里が僕を好きって言ってくれて、
余りに可愛くて、即座に断れなかった。

これ以上は、勘弁してくれ。
こうして2人でいると、美里を犯したくなる衝動をこれ以上我慢できない。」

慎二はそう言ってベンチから立った。
美里は、慎二の言うことが、常識外の事で驚く。
ただ、自分の事を嫌いになったわけでは無いこと、人に言いたくないだろう話しを打ち明けてくれたことが嬉しかった。

「打ち明けてくれて良かった。」
美里が、慎二の背中に向かって話しかける。
「...さよなら だね。」
慎二がその場から数歩踏み出した。

美里はもう何も言えなかった。
何も言わず、慎二を追いかけると、背中から慎二に抱きついていた。
慎二....別れる事なんてない。 犯されたって良い...私を好きにして...」

美里は、慎二の背中を抱きしめながら、涙が止まらなかった。
慎二美里の方へ振り返ると、慎二もまた美里を抱きしめる。

「本当に僕の好きにして良いの?」
慎二美里を見つめる。
「うん。」
美里が頷いた。

そして2人は、慎二の部屋に向かった。
会話は無かった。
ただ、その無言は冷めた物では無く、2人ともこれから始まる事に興奮していたのかも知れない。

そして、慎二の部屋の前まで来ると、慎二がぼそりとつぶやいた。
「この部屋の中だけでは、美里は僕の彼女じゃなくなる。良いね。」
美里は何のことか解らず、慎二を見つめ直す。

「先に部屋に入ってるよ。もう一度考え直して、それでも良ければ上がってきて。」
慎二の言葉に美里が肯定する。
「私は大丈夫慎二なら..」

慎二はその言葉を聞いても笑みを浮かべなかった。
そのまま、自分だけ玄関に入る。

美里、3分後に入って来て、僕の奴隷になる覚悟をきめて。」

美里は、慎二の言葉に耳を疑いつぶやく。
「ど、奴隷!?」
ただ、慎二美里つぶやきを聞く前に、美里を一人残し、玄関の扉を閉めてしまった。

扉の前に一人残された美里の頭は真っ白になっていた。
”い、今、慎二奴隷って....”
聞き間違いだったのかと美里は思ったが、会話の流れを考えると、慎二の要求は聞き間違いなどではなかった。

”ど、どうなっちゃうの....”
美里は不安で一杯になる。
ただ、慎二のためなら何でもできると言った言葉は嘘ではなかった。

慎二のためなら....”
美里は何度も自分に言い聞かせる。
そして、美里はドアノブを握り締めると、慎二の部屋の扉を開けた。

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