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つれずれ羞恥小説:恋人未満3

2019年07月16日 12:44

三回目の出会い葉月との待ち合わせで僕は定番化した喫茶店で待っていた。
葉月を抱き締めた夜から、まだ三日も経っていない。

”会えませんか?”

そうメールしてきたのは今回は葉月だった。
普通の生活をしていれば、決してあり得ないシチュエーション葉月も感化された様だった。

二回しか会っていない名前も知らない男に唇を奪われ、胸に触れられる。
女性としてはどんな気持ちなのだろうか?

つれづれは、待ち合わせの喫茶店で仕事を済ませる。
そんな時、葉月が現れる。

「やあ。」
つれづれは葉月に声を掛ける。今日は黒のワンピースだった。
腰より少し高い位置にワンピースを絞るリボンがあった。

葉月はつれづれに気付くと、少しはにかんだ笑顔をして向かいの席に座った。
今日の葉月ワンピースは若干絞ったリボンで、胸が強調される。嫌でも視線が行ってしまった。

葉月が誘うなんて、どうしたの?」

意地悪な質問をする。
その質問に、葉月はやや俯いて、
「なんとなく会いたくて。」  と答えた。

つれづれが、そんな質問をした裏には、前回会った時に葉月が誘わなかった理由。
”自分から誘ったら、自己責任みたいで...”
が潜んでいる事に、葉月は気付いたのかも知れない。

たまたま今回は、隣に他人が座っていたため、早々に喫茶店を後にする。
「何処に行く?」

つれづれの質問に、葉月はとあるビルの飲食街を指定した。
特に特別でも無い居酒屋に入ると、二人はたわいもない会話をしながら、食事を取った。

そんな会話の中で、軽く前回のキスの話になった。
「前回は大丈夫だった?」
そんな質問に葉月は、赤面し、俯きながら答える。

「はい。嫌じゃなかったです。」
ちなみに、今日の葉月は、髪が顔に掛らない様に髪を結っていた。
それは、葉月に答えにくい質問をすると、直ぐ俯き、顔が見えなくなってしまうのが嫌で、
つれづれが、事前にお願いしていた髪型だった。

「なら良かった。立ってられなくなるもんね。」
つれづれは、軽くからかう。
たったそれだけの言葉で、葉月は俯いて、目を閉じていた。

「今日は恥ずかしそうな顔がよく見えるから良いね。」
つれづれはからかうのが楽しかった。
「胸も本当に結構あったし、柔らかかったな。」

つれづれは、自分の手を鷲掴みの形にして、自分の手を見つめる。
そして、前回の胸の感じを思い出していた。

葉月はたったそれだけの事で、首まで上気する。それを自分でもわかっているのだろう。
自分の両手を首に回し、さらに俯く。そのしぐさを葉月はする時は相当の我慢をしている時で、それが手に取る様に解かった。

「俯いてちゃ、話ができないよ。」
つれづれは無理やり葉月の顔を上げさせる。
そして、視線が合うと、葉月の目がまた潤み始めているのが解った。

「ちゃんと立ってました。」
理性で、葉月は答えてくる。
懸命の努力がにじみ出ていた。

「じゃあ、もうキスしないね。」
つれづれの言葉に、葉月は困惑する。だた、表情はキスを求めていた。

「またしたいの?」 その言葉に葉月は頷いた。
ただ、それが、おねだりになっている事に気付いたようだった。

葉月の体温が上がった。
つれづれは、香水葉月の汗が混じった香りで、それが確認できていた。
 

二人はまるで恋人の様に会話を重ねる。


楽しい時間はあっという間に過ぎ去る。
時計は10時を回っていた。

「帰ろうか。」
つれづれは会計を済ませ、葉月帰宅を促した。
ただ、葉月は帰ろうとしない。


「少し散歩したいです。」
それが葉月の答えだった。

二人は少し街中を歩く。
「腕ぐらい組まない?」
僕は葉月に声を掛けた。葉月は自分の手を、僕の腕に伸ばした。

夜風が腕を組んだ二人を撫ぜる。
前回は断られた、この腕を組む行為の意味が僕は嬉しかった。

「線路向こうに、遅くまでやっているショットバーがあるんです。」
そう言ったのは、葉月だった。
「じゃあ、軽く行こうか。」

二人は、そのバーに入る。
バーにはそこそこの客が入っていたが、端の席に座る事ができた。
席の配置の関係で、横並びの席だった。

二人は初めて横並びに座る。
マスターに飲み物を注文すると、つれづれは葉月に視線を向けた。

「手を触るから、貸して。」
つれづれは、直接的に葉月に話す。

その指示が、葉月にとって、
性感帯を触りたいから、差し出せよ”

と同じ意味を持つ事を葉月は直ぐに理解する。
節目がちになり、おずおずと、右手を出す。

「右手じゃ無くて、左手。」
つれづれは露骨だった。葉月左手の感覚がかなり強い事を二人とも認識していた。

「左は無理...」
甘ったるい声を出す。 美人系の顔で”無理”といわれると、つれづれは許しそうになるが、
半分無理やり葉月左手を取った。

葉月は手首を掴まれただけで、体を震わせる。
何もしていないのだが、葉月はこれから起こる事を想像している様だった。

「まだ何もしてないけど?」からかいながら、机の下で、指を撫ぜた。

葉月はその瞬間、まるで直接その場所を刺激したかの様に身をくねらせる。
「反応し過ぎ。我慢しろよ。」

その言葉で、葉月は我に返ったように、周りに視線を送る。
ただ、客は皆、それぞれの会話に夢中のカップルばかりだった。

ただ、我慢できなくなったのか、手を振りほどこうとする。
つれづれは、そんな葉月を軽く睨むと、諦める様に言う。

「僕の握力には敵わないよ。」
躊躇せずに、つれづれは、左の指を愛撫し続ける。
葉月は遂に、目を閉じて耐え初めていた。

そんな葉月は可愛かった。つれづれは、葉月の耳元でささやく。
「濡れ始めただろ?」

葉月は何も答えなかった。美人の顔が羞恥で歪み俯いて耐えている。
「答えないと、やめないよ。」

つれづれは脅迫した。
首を横に振れば良いだけだったのにも関わらず、葉月は返答した。

「ちょっとだけ...」
つれづれは、葉月の手を解放した。
葉月の目が、ちょっとでは無い事を物語っている。

「へえ。ちょっとかぁ」
つれづれは、すかさず、葉月のふとももに手を伸ばした。
驚いた様に葉月が視線をこちらに向ける。

ただ、つれづれは、平然と周りからの死角を確認すると、太ももから、一瞬だけ上に掛け登ると、葉月に触れた。
葉月は必死に抵抗する。

つれづれは、太ももから一旦撤退することにした。

「少しは触らせろよ。」
つれづれは葉月を軽く睨んだ。

そんなタイミングで、バーの客たちの何組かが店を出て行った。
マスターを除くと皆、背を向けている。

マスターはさすがプロだった。こちらには一切視線を向けてこない。
つれづれは、葉月の胸を指差す。

葉月は気付いた様で、腕を組んでガードする。
「腕が邪魔。」
つれづれは手を軽く振り、胸を隠さない様に指示をする。

バーの店内で、葉月は仕方なく、腕を組むのを辞めた。
それは、自分の胸を差し出す行為だった。

つれづれは、躊躇なく葉月の胸に触れる。
手に柔らかい感触が伝わる。

ただ、そんな感触より、葉月の必死に我慢する表情の方が良かった。
羞恥と興奮の両方に取りつかれた葉月の表情が妖艶だった。

「こんな事されて、許してるって、僕の事好きなの?」
つれづれは、直接的に確認する。

葉月は驚いた様にこちらを見つめる。
「僕の事が、好きなの?って聞いてるんだけど?」

つれづれは、容赦なかった。
ここで、”好きです”と答えられる訳もなかった。
葉月はまた俯く。

つれづれは、手元の紙ナプキンに、乾き物のアーモンドピーナッツを並べた。

「僕が好きなら、ピーナッツを食べてみろよ。」
葉月に視線を送る。
彼氏が好きなら、アーモンド。」

つれづれは、笑った。
この場の状況と、このシチュエーションである。勝てると思った。

葉月は悩んだ末に、ピーナッツを口にした。
刷り込みに似た感覚が葉月を襲ったようだった。

つれづれはすかさず、アーモンドを自分の口で食べる。
葉月は、自分の選択に酔い始めていた。

目を潤ませながら、葉月ピーナッツを手に取ると、つれづれの口に押し当てる。
つれづれは、受け入れる様に、ピーナッツを口に入れる。

何度も、何度も僕はピーナッツを食べる事になってしまった。

自分の唇に、葉月の指の感覚がある。
その指は左手だった。



「そろそろ閉店になります。」
マスターが声を掛けてくる。 時計を見ると25時を回っていた。

タクシーで帰るんだよ。」
つれづれは葉月に声を掛けた。

二人は会計を済ませると、店を後にする。
駅のロータリーに向かうバーの並びの路地には二人しかいなかった。

つれづれは、前回の様に、葉月を引き寄せる。
ただ、前回と違ったのは、葉月は引き寄せただけで、目を瞑り顔をこちらに向ける。

”無理に好きといわせた様なものだな...”
つれづれは自嘲した。
駆け引きとしては今日はキスをしないで、引くべき。つれづれはそう思った。

ただ、
葉月の唇に自分の唇を重ねる。
”僕”が我慢できなかった。 小さく細い葉月を抱きしめながら、僕は葉月の唇以上の物を奪った気がした。

前回よりも長い抱擁だった。

相変わらず、葉月キスしただけで崩れそうになる。小刻みに体を震わせると、目が虚ろに彷徨う。

細い体に不釣り合いな葉月の胸を弄りながら、答える様に僕はキスをしていた。
ふと、人の気配がして二人は離れる。
 

恥ずかしそうに、葉月がその場を離れる。
二人は何も言わず腕を組むと、タクシー乗り場に向かった。


ただ、金曜日の夜のタクシーは長蛇の列だった。

”並ぶか...”
つれづれがそう思った時、葉月が口を開く。

「そこのお店、朝までやってます。」
居酒屋を指差す。
葉月の精一杯の選択なのだろう。
居酒屋であれば、 約束の持ち帰りはしないという約束は果たせそうだった。

「朝まで飲むか...」

つれづれ達は居酒屋に向かった。
今度は何も言わずに葉月は腕を組む。葉月はあまり男性と腕を組まないのだろうか?
腕を組むというより、ぎこちなく腕を掴んでくる仕草が可愛い。

地下に降りると、店員に案内された。
居酒屋は簡易な個室だった。周りもタクシーを諦めたカップルがまったりしている。

つれづれも葉月も、さよならのキスで思考を止めていた。
店員もほぼこない。隣の客も自分たちの会話で必死そうだった。

僕らもそうだった。
単なる居酒屋で、葉月を見つめる。

アゼリアで見かけた僕好みの子が目の前にいる。
そして、キスができる。そう想像してしまうと、止める事ができなかった。

個室といえど、店員が横を通れば二人の様子を確認できるにも関わらず、
つれづれは身を乗り出し、葉月の顎を取る。

そして、軽くキスをしてしまう。
ただ、葉月も軽いキスでは物足りない顔をすると、小さな唇を若干開いていた。
その顔を見ると、僕も葉月欲望に答えるために、唇を重ねる。

朝まで、まだ時間はある。
なんで、こんな風になったのだろう。二人はお互いの出会いがまだ理解できていなかった。

ゆっくりと時間が流れる。
グラスを手に取った葉月を眺める。 細い指が視線をくぎ付けにする。

何も言わず、つれづれは、また葉月の手を取ると指を撫ぜた。
葉月の興奮がつれづれにも伝わる。

バーに居た時の様に、手を外そうとはしなかった。逆に、つれづれの愛撫に身を任せている。
指を撫ぜるたびに、葉月は肩を震わせる。

感覚に身をゆだねる葉月と 一瞬、視線が絡まると、つれづれは、葉月の指に、自分の唇をあてがい、軽く舌を這わす。

「あっ...」
葉月が、驚きか快感か、居酒屋にも関わらず、性欲の声を漏らした。
その眉間を寄せた姿が淫猥で可愛かった。

二人は思考が停止したように、見つめあった。そして葉月の視線に初めて負ける。

その後もゆっくりと時間が流れる。ただ、時間が止まる事は無かった。

二人の三回目の出会いが終わろうとしていた。
時計を見ると、もう始発に近い時間だった。

「帰ろうか..」
二人は、もう明るくなった川崎の街を駅に向かって歩いた。
どちらともなく手を繋ぐ。

葉月は僕を確かめる様に、何度も何度も握り返してくる。

「今度は、葉月の部屋に行くよ。」

僕は、葉月にそう告げると、返答を待つ事無く、始発の電車に葉月を乗せる。

葉月が見えなくなると、どっと疲れが出た。ただ、その疲れは気持ちよく、
軽く街中を歩くと、タクシーに乗り込んだ。

 


四話に続く

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