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3日で75kmほど歩いてきた

2006年05月06日 06:50

4月末から5月の最初まで3日間で75kmほどを家人と二人で田舎道を歩いてきた。

娘が友達の家族とドイツの方まで遊びに出かけ、息子も友達とアムステルダムに出かけたりする、というので我々もそれじゃ、オランダ全土を縦に横切ってほぼ490kmある縦断歩道ルートをこの2,3年で少しづつ断片的に歩いているのだが、また続けて歩こうかと1日25kmほどの部分を3日間歩くことにした。 この前に南のほうを家族で歩いたのが1月の初め頃だったと思うのだが、そのときは2日間で50km程歩いたよう記憶している。

今回は去年歩いた続きをと、家人が先週電話で二日目の晩の宿を予約してあったが、そのあと初日の宿は途中の村の宿が手配がつかず普通の家庭でベッドと朝食を提供する、サイクリングの趣味の会組織のリストから選んでルートの村にある家の約束をとってあった。 

日程は、うちから1時間半ほど車で150kmほど北の方に走り、その州都の中央駅の駐車場に車を停めておき、そこから電車でまだ40分ほど東に走り、そこの駅から出発して毎日25kmぐらい歩いたところにある小さな村のあるかないかの宿屋に泊まって計75km済ませ、その後バスでまた北の中堅都市までバスで20分ほど乗って着いたところのオランダ国鉄駅から急行に乗り45分ほどで車を駐車してある駅に戻る、というのが計画である。3日歩いた距離を45分で戻ってくるということだ。

オランダの北端の村Pieterburenから南部リンブルグ州のマーストリヒトのすぐ南のSt.Pietersbergという所を繋いだルートを Pieterpad(ピーターの路)と名づけて1983年からだからもう20年ほど沢山の人がその路を北から南に、南から北にと様々な歩き方をしている。

これには公式ガイドブックというものがあり、国際基準に従ってオランダ国土地理院が作成した地図の4−7kmごとのルートを1ページにした詳細なものを使って必要情報を加えたものが使われる。 ヨーロッパの各国には同様のルートが様々にあり、われわれも夏のバカンスの折にはそれぞれの国の地元の書店や土産物屋でこのようなガイドブックを求めて参考にしている。

この3日間で雨は降らなかったものの肌寒い平均12度ほどの、時々日が射す、歩くには最適の気温だった。 歩いても余り汗ばまない。 おととし、スカンジナビアの国で真夏バカンスの折歩いたのがこのような天気だった。 1時間半か2時間歩いて短い休憩を取るのだが水分を求めてとる、というようなことは余りない。 今回は直線に25kmづつ3日歩くのだから着替えや必要な水、などだけだが10kgは充分に越える荷物をリュックに背負っているから17,8度であればかなり汗がでると予想していてそれなりの水、ジュースを背負っていたのだがあまりはかばかしく減らなかった。 ルートは人家を避けるように工夫してあり、小さな村を通過してもそこには小さなカフェーが一つか二つあってもスーパーマーケットなどはない。 最終日には地図に只一つ載っているカフェーが改修中でそのために用意してあった簡単なサンドイッチで済ませたのだが結局この日はこのコース25kmのうちで人家は一軒も見なかった。

大体、昼頃に小さな村を通過してそこのカフェービールを飲みながら簡単ながら温かい食事をするのが楽しみなのだが3日のうちで初めの日だけがそういうカフェーだった。 穀物酪農、牧草地が混じる田舎道を12,3kmいったところにある田舎カフェーはそこの村の公民館的な機能もあり、この日は農家のおじさんたちが大きなトラクターを路肩に乗り上げてビールを飲みながら分かりにくい方言穀物の出来、農道の整理のことなどを話していた。 この日は祭日にもあたっていて子供たち青年、主婦たちも小さな集まりでもあったのかめいめいコーヒーケーキで賑やかに話しているところだった。 われわれが入っても、このルートは我々のような「よそもの」がよく休憩に来るので別段じろじろ見られるわけではないのだが、しかし、街の人間の顔つきとは明らかに違う純朴さというものが見られるようだ。 特にこの日のように村の人間たちが寄り集まるところでは我々に注意するものはないが、しかし、アジア人でこのように歩く人間が少ないのは経験上はっきりしているので小さな子供たちの眼が時々私に注がれているのは自覚される。

結局、今回この村のカフェーだけが温かい食事をとれる唯一の昼の休み場所だった。

ルートは何キロも続く森の中の小道を出て、だだっ広い、両方がそれぞれ2,3km見渡せるようなひろびろとした田舎道をたどるのだがそんなときには幅1mほどの舗装された路が農道兼用ととして続いているが、これがあまり歩行者には評判がよくない。 登山靴ではなく遊歩用の底の厚いトラッキング・シューズなのだから普通の靴よりは衝撃が和らげられるのだが、それでも舗装道は長く歩くと足裏に固く当たり、自然と路肩の草に覆われた平らな部分が足底に柔らかいことを経験上知っているので、みなアスファルトを避けて歩くようになり、自然と幅20cmほどの人が歩いた筋が路肩に出来るようになっている。 雨が降りぬかるめば仕方なく舗装道を歩くが自然の道のほうが足裏にいいのは何日も歩くと自然に足が記憶するようになる。

森の中は今回はまだ春も早いのか広葉樹、雑木の森は芽がやっと開くかどうかといったところで遠くから見ると隙間の多い森が薄く苔が生えたような薄緑色の春に入ったところである。 その一方針葉樹林では常緑樹林であるから新芽、新緑もまだ見えず、本来の深緑の木々が生い茂っている森は薄暗くて見渡せない。 春から初夏にかけて歩くと針葉樹の新芽、深緑と森の匂いがすがすがしいのだがまだその息吹ははっきりとは立ちあっがってこない。 この森のあいだの草地が穴の開いたようにあるところでわれわれの20mほど先を若い鹿が一頭だけ余り急ぐでもなく、けれど素早くあたりを見渡して横切っていくのを見た。

森の中は静かで鳥の声はさすがに春を感じさせるものがあったが、中には啄木鳥の木を叩く音も聞こえてきたし、コウノトリ、隼、雉なども見られた。 草地を横切るときには目の前から突然、野兎が飛び出して駆けて行くのに驚いたものだ。

二日目には大体が森の中を歩くルートになっていてあるところでは直線で6kmも続くところがあり少々うんざりした。 この3日間では1時間に一組ぐらいで向かい側から歩いてくる2人か3人の同年代の歩行者に出会うのだがこういう直線では遥か彼方に点として現れて、それらは大抵オレンジ、白、赤など目立つ服を着た人が多くて点として見えた人が行き違うまで10分以上かかることもある。 一概に、こういうところを歩こうかと言う人たちは中年以上が多い。 

一日の行程を終え、5時前に宿に到着して荷をほどき温かいシャワーを浴びるのがなんともいえない楽しみである。 風呂があればいいのだろうが、逆に冷たいビールを湯船に持ち込めば気持ちよさにそのまま沈没しそうで、それから何もする気がなくなる恐れもあり、それにそれに続くレストランの夕食を考慮すればシャワーぐらいで丁度よい。 そこそこのレストランワインとともに2時間ほど時間をかけて食事しても外はまだ明るいから静かな村の中を食後の腹ごなしを兼ねて散歩するのも楽しみなものである。 大体が田舎の村であり観光の対象になるようなものはないのだが、概ね裕福な村はどこも綺麗に花壇を整理してあったり体裁よくうちを飾っているので古い田舎に行くほど情緒があるし、通りかかる人々も老いも若きも挨拶の声をかける。どこの街でもオランダ中、景観は均質で代わり映えもなく、人の対応も変わりがないのだがさすが田舎に行くと違う。 老人の様子を眺めるのが楽しみである。

田舎の町の中心からバスに乗り、中程度の街に着いて車の置いてある街まで電車に乗るために駅の喫茶店コーヒーを飲んでいると、もう、気分はすっかり日常に戻っていた。 日常というのは廻りに絶えず建物があり、人の気配がする、ということだ。



http://www.nivon.nl/wandelen/wandelpad/index.asp?WandelpadID=18

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