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孤独の淵から(11)

2022年12月12日 20:09

前回からの続き

大学2年の秋。爽やかな秋風が吹く午後。
ひまわり会の先輩ボランティアで8歳年上女性、Rさんの一人暮らしアパートに行くことになった。
いつもの体育館で待ち合わせて、2人とも自転車移動なので、Rさんのこぐ自転車の後について行った。

初めて入る女性の部屋。ドアを開けるまでは緊張していたが、中に入ってみると畳の和風の部屋で、不思議と穏やかで、どこか懐かしいような気持ちになった。

Rさんにうながされて、テーブルの奥のクッションに座った。
そこへRさんがケーキの乗ったお皿と紅茶を入れたカップを2人分持ってきてテーブルの上に置いた。
Rさんは向かい合わせではなく、右横の席に座った。

「どうぞ、召しあがれ」

あ、そうか。今日はRさんが焼いたケーキをご馳走になることになっていたんだ。

「あ、すごい美味しいです!」
「ふふ、そう。ありがとうね。」

Rさんはいつもと少し雰囲気が異なり、何か秘めた思いがあるようだった。

「あの、、」
「あの、、」

2人の言葉が重なった。

「あ、シュージ君はなんでひまわり会のボラをやろうと思ったの?」

Rさんが僕を見つめながら言った。

なんで?
Kちゃんに振られたから?
いや、その前から僕の心の奥には、何か埋められない穴、薄暗い淵があったはずだ。
それが、ひまわり会とRさんに出会って少しずつ明かりがさしてきたような、、、
でも、自分でもよくわかっていないものをRさんになんて説明しよう、、、

「んー、大学生活もあんまり楽しくないし、何か充実した活動ができないかと思って、、」

適当な言葉が口をついて出てきた。
Rさんは僕の言葉に反応せず、静かに下を向いて、ふーっと息を吐いた。

つづく

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