趣味は読書、灰色の未来(眠れずに)

本という形式、物体が、電子書籍に代わられて、幾星霜。もう、都心どころか、この国の、いやこの世界の99%から、実体としての書籍は消えた。
街の書店、古書店、図書館、紙の本を扱う場所は絶滅してしまった。
全ては、手の平大の端末の中へ。
活字だけでなく、写真、図版、時には音楽や動画まで付随したシンプルな本とは言えないものになった。
家庭や職場からは、本棚が消えた。
そんな中、僕はこの国では、唯一本の残っている場所にいる。それは、まさに僕の部屋。埃っぽく、ページの黄ばんだ馴染みの本に囲まれている。年老いて、死を待つばかりの僕は、幼少の頃から親しんだ書籍に囲まれ、ソファに横たわっては、部屋の三方を囲んだ本棚から、ランダムに本を取り出しては眺めている。
新刊の紙の本が発売されなくなって、久しい。もう、新しい本は手に入らない。
思えば幸せな人生だった。
自分の好きなものを見つけて、それをほぼ一生追いかけることが出来た。
後は、残された時間を、過去を振り返って過ごすだけ。

眠れずにわけの分からん文章を書いた。頭が痛い。