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Caravaggio 殺人者と呼ばれた画家

2007年02月23日 04:06

Caravaggio 殺人者と呼ばれた画家

16世紀後半 

ペスト黒死病)がミラノを襲った時 画家は6歳でした

画家の作風はこの時決められたという人もいます

父も祖父も叔父もみんな最期は悶え苦しみながら死んでいきました

この記憶が画家に『光』と『闇』そして『凶暴性』と『憐憫』を植えつけたのだと


画家の名前はミケランジェロメリージ・ダ・カラヴァッジオ

幼少の頃ペストから逃れる為移り住んだイタリア北部のカラヴァッジオ村を名乗った

通称『カラヴァッジオ』のが有名です


アタクシが愛してやまない画家の一人です

確か『カラヴァッジオ』ってえーがにもなりました

80年代後半 イギリスで。。。

未見なんですけれど

以前から述べているように アタクシはカトリック教徒じゃあありません

けれど 『世界観』として聖書キライじゃあないんですワ

特にカラヴァッジオの描く宗教画はすんごい好きです!


聖書とは神の教えを説いたもの

けれど 残虐なシーンも数知れず。。。

カラヴァッジオは その 残虐なシーンをリアリティを超えドラマチックに生々しくダークに描きました

あまりのリアリティさに人々は神の教えをそれぞれの感性で胸に刻み込むハメになるんです

残虐であればあるほど 一度見たら忘れられない衝撃は大きい


しかし 宗教画とは そほとんどが教会に飾られるもの

カラヴァッジオの作品はあらゆる所で物議を醸し出しました

例えば 彼の出世作『聖マタイの殉教』

マタイイエスの12使徒の一人で イエス昇天後 エチオピアペルシャ伝道を行いました

しかし ローマ皇帝ドミティアヌスの下で火刑にかけられた後 斬首されたといわれています

それをカラヴァッジオが描くとたちまち 眼の前で起きている殺人事件になってしまうんです


「実際のものが描かれていない作品はくだらない ばかげている」


カラヴァッジオは想像だけでなく 実際に知人にモデルになってもらいポーズをとらせ描いていたそうです

ある時は娼婦死体さえもモデルにしていました

マリアの死』

そこに描かれているのは神聖なるマリアというより 浮腫んだ女の死体 

カラヴァッジオ聖書の物語をまるで目撃者のように描きました

何故!?

そうまでしないと人の心には絶対に届かない!!

そう思ったんじゃないのかなぁ。。。


ちなみに『聖マタイの殉教』はカラヴァッジオが名声を得る前に移り住んだローマの サン・ルイージ・ディ・フランチェーゼ教会にあります

この教会ではカラヴァッジオが描いた聖マタイ3部作が見れます

フランス人枢機卿マテュー・コンテレー(マテューをフランス語読みだとマタイ)が聖マタイを題材に描かせたものだそうです

ランチェーゼ教会は ドミティアヌス帝が作らせた競技場跡地『ナヴォーナ広場』のすぐ裏手にあります

この近辺をカラヴァッジオは“縄張り”にしていました


彼はどうしようもない“ならず者”でした

カラヴァッジオ村に居た頃から喧嘩や殺傷沙汰が耐えなかったそうです

仕事が入ると その間は制作活動に集中し 出来上がって収入を得ると腰に剣を提げ ナヴォーナ広場周辺をうろつきまわり 賭博場から賭博場へ渡りあるいていました

気性の荒い画家はいつでも喧嘩が始められる勢いでした

彼のすべての行動は芸術家としては最低最悪だと有名デス。。。

そして ついにローマ殺人犯してしまいます

球技大会の試合中 些細なトラブルから知人を刺し殺してしまったのです

カラヴァッジオローマに居られなくなり “お尋ね者”として南へ南へと逃亡生活をするハメに。。。

そしてたどり着いた土地マルタ共和国

ここは一見 イタリアの一部かと思える位イタリアと近い小さな島国

どうしてここに!?

逃亡生活に疲れ果てた画家には唯一の希望の国だったと思います

何故!?

この国は十字軍末裔マルタ騎士団が守る要塞都市

彼等のほとんどは貴族の出でした

しかし 功なり名を挙げた者には入団が許されたのです

カラヴァッジオはそのチャンスを『絵』で掴もうとしました

『もう一度 胸を張って生きたい』

罪人としての罪悪感で一杯だったけれど きっと心の奥底で強く願っていたと思う

彼は聖ヨハネ守護聖人とするマルタ共和国で 素晴しい傑作を描きました


洗礼者聖ヨハネ斬首』 


二千年以上昔 古代ローマ時代 ガラリヤの領主であるヘロデ王

その王の心を妖しい美しさで魅了する義娘 王女サロメ

だが、義父の振舞い方にウンザリしている

ヘロデ王は自身の誕生祝の宴でサロメの踊りを所望する

しかしサロメは如何なる褒美を与えると言われても踊らない

王者の男達から想いを寄せられても振り向かない

何故なら彼女の心は洗礼者ヨハネに夢中だったから

この想いを遂げようとあらゆる手段で彼を誘惑する

しかし神にのみ心を捧げている洗礼者ヨハネには届かない

洗礼者ヨハネに拒絶されればされる程 情熱帯びてくるサロメ

これを見た 彼女に想いを寄せている兵士は絶望して自殺

そして ついにヘロデ王の願いを叶える決心をしたサロメ官能と刺激に満ちた七つのベールの踊りを披露する

踊りながら 最後の一枚まで脱いだサロメ

裸身が月光に包まれた姿 余りの美しさと激情の表現に感動するヘロデ王

そして王はサロメに望みのものを問いかける

「銀の盆にのった洗礼者ヨハネの首が欲しい!」

サロメは盆を受け取ると狂乱の混じった喜びで

「今こそ口付けができる!!」

純粋さ上に湧き出た狂気と愛の物語「サロメ


有名な物語

その今 正に首が切り落とされる瞬間を描いています

「早く切り落とせ」という声が聞えてきそうな野次馬

しかし 切り落とされる聖ヨハネはなんとも穏やかな表情

そして カラヴァッジオは初めて絵にサインを残しています

『F・ミケランジェロ

ヨハネの首から吹き出る血になぞって。。。


どうしてそんなに穏やかな表情をしているの?

どうして血になぞってサインをしたの?


この答えは近い将来アタクシ自身で観てみつけてきたいと思ってます

そう!カラヴァッジオの絵は大好きでたくさん観てきているけれど マルタにはまだ行ってないんだよおぉ!!><


カラヴァッジオはついに騎士としての称号を得ました

団長は罪人を騎士として加える事をローマ教皇に伝え 教皇は罪人の罪を免じました

彼は生涯で一番幸福な時を迎えたのです

しかしマルタでも暴力沙汰を起こし投獄されてしまいます

何とか脱獄し また 逃亡生活へ。。。

マルタからシチリア渡り ナポリへ向かいました

その間にも依頼は絶えず 何枚か絵を制作しています

そして 悲劇はまた起こります

マルタ騎士団からの使者が カラヴァッジオを襲ったのです

殺されずには済んだけれど 顔は画家であることが判らない位の傷をおいました

この頃 何を想って絵を描いていたんだろう。。。

マルタ騎士団に『洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ』を贈っているそうです

画家は ローマからの恩赦を待ちながら絵を制作していました

そして38歳で亡くなる前に描いた作品が『ゴリアテの首を持つダヴィデ』

その生首は画家自画像でした

結局ローマには帰れず 皮肉にもローマからの恩赦が出されたのは画家の死亡が通達された日だったそうです


物語のようなカラヴァッジオの生涯

画家の絵を観るとき この物語を深く知った上で鑑賞すると 更に画家の絵に惹かれてしまいます

ローマに行くと必ず フランチェーゼ教会でボーっとカラヴァッジオの作品を眺めています。。。

あぁ!マルタ共和国に行きたい!


YouTubeカラヴァッジオの作品 順番に

ゴリアテの首を持つダヴィデ』(首は画家自画像

『病のバッカス』(バッカス=酒の神様 カラヴァッジオの描く少年像は凄くイロっぽい!絶対同性愛者だよぉカラヴァッジオ!)

果物かご』

『聖マタイの召命』

『聖マタイの殉教』

『トマスの不信』(甦ったイエスの傷口を確かめるトマスそしてイエスはトマスに「信じない者ではなく信じる者になりなさい」と)

『聖パウロの改宗』

聖ペテロ磔刑』(ヴァチカンの丘で逆さ十字に架けられるペテロ

キリストの埋葬』

『ロレートのマドンナ』

マリアの死』

エマオの晩餐』

洗礼者聖ヨハネ斬首
https://www.youtube.com/watch?v=WXwbhssHTKk
ちなみにカラヴァッジオイタリア通貨リラ”の頃10万リラ紙幣の『顔』でした

10万リラ札っていえば一番高額な紙幣ですヨ!

このウラログへのコメント

  • きた 2007年02月23日 05:56

    カラヴァッジオは映画で知っていたつもりでしたがそういう遍歴があったのですねー。映画では同性愛者でした

  • ち~どん 2007年02月23日 23:51

    好きなことを文章にする時って~その人が出ますね♪いいノリ~大歓迎~書き続けて下さいね。マイペースで★

  • キャメロット 2007年02月24日 00:41

    俺も宗教画好きだ。聖書は読み物として面白いと思うよ
    二コラスが来日してモト冬木と写真撮ってた・・・

  • みんきー 2007年02月24日 00:54

    宗教画は奥が深いですね。これとルネサンスとの対比がまたいいです。
    10万リラはとうとう見ませんでした

  • コバ 2007年02月25日 23:00

    相変わらず、素晴らしいです。
    他の人と物事の捉え方が一線を画していますね!

  • tarashi 2007年03月03日 00:58

    数年前に白金の庭園美術館で見ました。物語性のある絵で見ごたえあり。バルチュスのゾクゾク感はなし。

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