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オモテの続き D実ちゃんの思惑

2011年02月28日 00:58

この言葉には息を飲んだ(・・;)彼は被害者息子???

D実ちゃんは続けた。「12年前、親父の親友がA+B団体の連中ともめていた頃、親父は両者の殴り合いの喧嘩を止めに入ったんです。巻き添えで親父は大怪我をして一時は意識不明状態にまで陥りました。私はそのときに、彼らを襲おうと思っていました」


D実ちゃんは伏せ目にして追憶しているようだった。

「彼らはマスコミ対応のために連日本部に来ていて、夜にふたり揃って出てくるとパターンだと人づてに聞いていました。ふたりの顔は写真で知っていました。そして、その日の夜もすぐ横合いの植木の近くで待っていました。そのうちふたりが出てきたんですが・・・彼らの姿を見て辞めました。顔写真だけではわからなかったんですが、ふたりとも、私とは明らかに違う華奢な男性だったから。熊みたいな強そうな人だったら飛び掛っていましたよ」と、D実ちゃんはアイスコーヒーの氷をストローカラカラと回しながら話した。

私は彼に尋ねてみた。「D実ちゃんが被害者息子だと、A代表は知っているんですか?」と。

D実ちゃんは静かに微笑んで答えた。
「A代表も幹部の人たちも知っています。私が2年間の服役を終えて娑婆に出た頃は、A団体とB団体に分かれていた。その頃は私も落ち着いて、両団体と話をしてみようかなと思っていたんです。あんな騒動があって、現在はどう思っているのか?今後はどうしたいのか?でもB団体にメールを送ったり電話をかけたりしたけど取り合ってくれなかった。私に脅迫でもされると恐れたのかもしれないけど『もうその件を蒸し返ししたくない。慰謝料とかの話なら、そういう団体があるからそちらを通してください』とね。私はそんな話じゃなくて、ともに多くの人に迷惑をかけた者として話したかったんだけど」

そんな経緯があったのか。
B団体は閉鎖的になっていると聞いたことがある。
過去の騒動を消そう消そうと躍起になっていて、足手まといになりそうな人まで脱会させているから、やはり過去の事件の被害者関係の人も嫌がるのだろうな。

私のしんみりした表情を気遣ってか、彼はそれまでの真剣な面差しをにっこりとした和やかな笑みに変えた。

「でもね、ゆりさん。A団体にコンタクトを取ったときは、A代表も幹部の人も快く会って話を聞いてくれましたよ。現在は開放的になろうとして、会員外の人とも接触していってる内情を聞きました。勉強会や自然豊かな場所へのハイキングの話も。私もつい先日の夏のハイキング長野まで行きましたよ^^」と。


その日の夜に私は大阪へ戻るべく新幹線に乗っていた。

そしてD実ちゃんの話を思い起こしていた。
D実ちゃんは言った。「私がなぜA団体に近づき、話したり行事のハイキングに参加したりしているか?私は更正をしようとしている男です。A団体は過去を反省して改善しようとしている。彼らを認めないということは、私の罪滅ぼしも認められないということだからです」

彼らを認めないということは、私の罪滅ぼしも認められないということだからです
彼らを認めないということは、私の罪滅ぼしも認められないということだからです
彼らを認めないということは、私の罪滅ぼしも認められないということだからです


D実ちゃんの言葉が私の頭の中で何回も繰り返された。

D実ちゃんはA団体を自らの鏡だと思っているのだ。

(続く)

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