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幻の雲で会えたら・・・4

2009年09月26日 23:13

幻の雲で会えたら・・・4

私、工夫してみることにした。
 今度は、色々連れていってみるわ。
 私一人じゃ駄目なのかもしれないもの。
 もしかしたら、私以外に連れてきてほしい人がいるのかもしれないもの。
 そう。きっと雲は私以外にも招きたい人とか、何かあるのよ。

 でも、会社の同僚でいくら親しい人にも、私は言えなかった。

 窓の外にへんな雲が浮いていて、それは月明かりに照らされてとても
綺麗なの。はしごがあるんだけど、あと数歩のところで進めないから、
一緒に来てみない?
・・・なんて、言えるはずはなかった。

 仕方が無いから、私はまず飼い猫のトムを連れていくことにした。
抱き上げて、ソファーに一緒に眠る。ふわふわした毛並みを撫で
ながら、眠りに落ちる。

 そしてはしごの上。あと数段。どう、進める?
 トムは以外に高いところが平気だった。
 まるで予期していたかのように、冷静に私の背中に乗っている。
 しっぽをピンと立てて、しっかり私の上に立っている。
 目の前のフワフワ雲をにらみつけながら、私は右手をがしっと
思い切り前に出す。たったの三段。されど、三段。
まずは、一段。

・・・ドキドキした。手が、動いた・・・。
 やっと、右手が一段進んだ。
 次は、左手

 けれど、空振り。何度手を動かそうとしても、左手
びくともしなかった。
 背中でトムが鳴く。「ウアァ?」

 変な鳴き声。まるで、「なんでだよ、なんで進めないんだよ?」って
私の代わりに言っているみたい。
 思わず私、笑い出す。小声で、だんだんこらえきれなくなって
大声で笑う。

「ねぇ、ここまで笑わせてくれるのも嬉しいけど、なんで
たったの一段の半分しか進めないの?」
 笑いながら、フワフワ雲の奥に向かって言う。

 はしごにしがみつきながら、私は可笑しくて仕方がなかった。
 真夜中の空の上で、私、一体どこに向かおうとしてこんなに
必死になってるんだろう。

 なんでトムを背中に乗せて、へんてこなフワフワ雲に向かって
叫んでるんだろう。

 ひとしきり笑って目前のフワフワ雲を眺めると、
雲の奥はいつものように虹色に揺れて輝いている。
 そして、声がした。

「あと、少し。まだ足りないよ。」

「何がよ・・・何が足りないのよ・・・」
 はしごの上から下を見下ろして汗だくになりながら目を閉じる。

 そうか。そうなのか。猫ではまだ足りないのか。
私、本気でそう思った。
 だってトムを連れて行ってここまで進めたんだから
今度はもっと色々連れていけば、二段半行けるんだわ。

つづく・・・

---------------禁無断転載引用著作権は(c)office-miraiに帰属します。------------------

このウラログへのコメント

  • 二木聡 2009年09月26日 23:30

    ネズミのジェリーはいないの?

  • まりぃ 2009年09月29日 15:08

    > 二木聡さん

    残念ながら出てこないはずです^^;

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