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幸福の向こう側…5

2009年05月06日 17:31

僕が…
あの日…

自分に…

区切りをつける為に…
ヒロに送った手紙…

………………………


ヒロ
元気か?

僕はバリバリ元気だよ

なんと!
この前手紙で宣言した
技術の資格

残念ながら…
ヒロの予想を裏切って…

合格しました~
イェ~イ

日本に戻ったら…
一緒に仕事出来るかもね

ヒロ
デザインして…
僕が設計して…

楽しみだね!


ところで

もういい加減
NYは庭になったかな?(笑)


でも
さすがヒロだね!


もう
いっぱい友達いて…
休みは皆でバーベキューパーティー三昧なんて…
良いなぁ~
楽しそうで…


もしかして…
良い男が沢山いて
より取り見取りで困ってるって言ってたから…
もう
彼氏もいたりして(笑)


僕も…
ヒロに早く作れ~って言われたので…

なんと!
彼女出来ました~

じゃじゃ~ん
二人で撮った写真同封~


どうだ参ったか!
可愛いだろ~

本気出せばこんなもんさ(笑)

今は毎日が
デート状態だよ~
うらやましいだろ~

ヒロ
早く
良い彼見つけて紹介しろよ~



じゃぁな~
ヒロファイト!

………親友隊長シュウジ


…………………………


ホントは…

彼女なんていなかった…


ヒロ
気を使わないで
新しい一歩を…と


友達に頼んで
写真を撮った…


結局…

ヒロも…
嘘ついてたんだ…


皆で楽しく
過ごしてるなんて…


休みの日…


誰も友達がいない異国の地で…ひとり…


どうやって…
過ごしてたんだろう…



お互い…

相手を思う余り…
嘘までついて…

無理して…


てっきり…


僕だけが…
苦しんでいたのかと
勝手に思ってた…



その手紙の返事も…


いつもの…
明るいヒロで…

彼女が出来た事
喜んでくれて…



私も!
負けてらんないから

たぁ~くさんの中から
1番カッコイイ男選んで
シュウジに自慢してやるから!


なんて…



ごめんね…
ヒロ




お互いのボタン
掛け違えちゃったね…



もう…


僕が…

ヒロの横にいて…
幸せにする事は…
出来なくなっちゃったけど…



広瀬さんなら
きっと…


ヒロの事…
幸せにしてくれる…


こんなにも…
ヒロの事
愛してくれているんだから…




もう…
安心…


……………………


なに
二人で盛り上がってるの~

ヒロ
沢山の料理をもってきた


広瀬さんが
僕に目配せをして…
話しを変えた…


どうやら…
広瀬さんは…

ヒロが僕に嘘をついていた事や…
気持ちを隠して強がり言ってた事…
みんなわかっていて…

僕に…
伝えてくれたんだろう…


黙っていればいいのに…

そんなんで…

もし僕が強気に出たら…
って考えなかったのかな…


それだけ…
自信があって…

広瀬さんなりの…
区切りをつけたかったのかな…




それから…
広瀬さんはその話題には
この日の後も…

二度と触れなかった…




更に…ヒロ


シュウジ~
美味しいワインだよ~
へへ~ん
いいでしょう~

シュウジがワイン好きって言ったら
タクちゃん買ってくれたんだよ~


ほれ!
飲ん兵衛二人!
タクちゃんに敬礼


今日は三人で朝までコ~ス



それから…
ホントに…

朝まで…

三人でワイワイ話しをし…
夢を語り…
盛り上がった…




広瀬さんとは…
これからがっちり組んで
仕事を一緒にする事になり…


駆け出しデザイナーヒロは…

そのサポート



広瀬さんが年上だからなのか…
二人を見てると…

今まで僕が見た事のない
大人のカップル




色んな事を聞かされ…
一瞬複雑な気持ちにはなったけれど…



これから
ヒロとは親友として

ずっと付き合って行こう…
それが二人にとって
1番いい形…なのかもしれない…




……………………



それから……
形は違えど…



広瀬さんがクライアントから物件を受注し…

デザインし…


それを僕が設計し施工した…



ヒロクライアントとの間に入りサポート



僕達はいつも一緒に行動した…

一緒に徹夜で打ち合わせしたり…
現場で施工の仕上げに立ち合い…


電車がなくなって…
現場で一緒にダンボールに包まって仮眠したり





今から思えば…

その時が…

1番一緒に共有した時間が長かったかも知れない


お互いの家にいるより…
二人で仕事をしている時間の方が長かったので…


より一層…
二人の信頼関係が築けた 時期だった…


もう僕達は…



いや…



少なくとも…



僕は…
ヒロに対して…


単なる好きとか…
愛してる…


を越えた
何かが…


芽生えていた…


………………………


そんな風に…
一年以上過ごした
ある日…


仕事が終わって…




お疲れ~
ヒロ!また明日な!


と…車に乗った…


別れ際…




シュウジ!

今日は大事な話し…
うぅん報告があるんだぁ…

今から
時間ある?



ヒロは…
いつもの明るい感じではなく…
やけに神妙な顔付きで
聞いてきた…


あぁ…
別に大丈夫だけど…

なに?



ヒロ助手席に乗りこんできた…



少しの沈黙の後…


ヒロが話し出した…




今迄…

いろいろあったけど…

いつも…


シュウジは…
近くにいてくれて…


傍にいてくれて…

助けてくれたり…

励ましてくれたり…


いっぱい…いっぱ~い
の勇気をくれて…

ホントにありがとう!




感謝してる…




…って言葉だけで済ましたくない位…

感謝してる…



それだけじゃない…


ヒロは…


シュウジの事…

大好きだよ!


うぅうん…


多分…

絶対…

誰よりも愛してる!


シュウジの事だから…

ずっと前から…

気付いてたよね…





ヒロがNYから帰って来た日…

直ぐに…
シュウジの彼女に会いたくて…

自宅に帰る前にシュウジん家行って…

会わしてって頼んだら…


しどろもどろしながら…

彼女と別れた…って
言ってたけど…


ホントは最初から
いなかったんでしょ…



ホント…
バカシュウジ!



その時…
ヒロ

気付いたけど…


もう…

遅かったの…




私も…




バカヒロだよね…







でも…


ヒロ
今凄く充実してるし…

楽しい



こうして…
ホントにシュウジと一緒に
仕事出来てるし…





また…
沈黙だった…






僕は…
何も言わず…

いや…

言えず…


ただ…

聞いている事しか出来なかった…






ヒロね…

タクちゃんの事…
愛してるの…



それに…

凄くヒロの事…
大事にしてくれるし…
ずっとついていけると思うし…




だから…
もう自信もって…

シュウジに
言える…



ヒロ
絶対に幸せになるから!





だから…


だから今日は…

シュウジに報告があるの…





まだ…
タクちゃんにも言ってないんだけど…






ヒロ
赤ちゃん出来たの…

タクちゃんの…







それを聞いた途端…
僕は…



涙が溢れでた…







ヒロと…
広瀬さんは…

帰国してもう一緒に住んでるし…
仕事が落ち着いたら…

もう…
結婚するのも決まってる…

子供が出来ても…
全然おかしくない…

むしろ…
遅かったくらいだから…


とっくに…
覚悟はしていた…




でも…


何故だか…
涙が…とまらない…







だから…
当分…

もうこうして一緒に仕事出来なくなっちゃった…

ごめんね…シュウジ…




シュウジ?
泣いてるの?






当たり前だろ~

悲しくて…
泣いてるんじゃないからな!!


嬉し涙だからな!!






わかってる…





なにもかも…
わかってる様に…

ヒロが答えた…







僕は…
涙を拭いながら…





とうとう…
ヒロママか!

でも
ヒロ大丈夫かぁ

子育て頑張り過ぎて
育児ノイローゼにでもなるんじゃないだろうなぁ
って事は…

しょうがないから…
僕は
生まれてくる子のお兄ちゃんになってやるよ!







シュウジ!
なに言ってるのよ~

どう考えても
おじさんでしょ!


だって…

シュウジは…


シュウジは!
ヒロのお兄ちゃんなんだから!






そ…そうだよな!(笑)







今迄以上に…
長い沈黙が続いた…









シュウジ…





うん?





ヒロの事…
ギュッとして…





う…うん…







それから…
狭い車の中で…



僕は…
ヒロを抱きしめた…


最初は優しく…
でも…
すぐに…

力いっぱい…


ヒロを抱きしめた…



ヒロの肩が…
僕の涙で濡れ…

ヒロの…
背中に回した手が…


僕の…
シャツを握り締めているのを感じた…





そのまま…



どれくらいの時間が経っただろう…




ヒロが…



もう
行くね…






と言って…


僕の腕の中から…

離れていった…



永遠に




ヒロは…
車を降りると…

もう…


いつもの…
ヒロに戻っていた…





運転席に回ってきて…






僕の
頭を撫でながら…





もう
背…のびんなよ!



と…



いつもの様に…
笑いながら…

言った…けど…



唯一…
いつもと違ったのは…


僕が
車に乗っていたので…


その時のヒロは…
もう…
背伸びをしていなかった…





先に…行って…



あぁ
わかった!



その後…
僕は…

平気な振りをして…


ヒロを後に…
車を走らせた…






バックミラーに写ったヒロが…


涙で…霞んで…


見えなかった…




…………………………





それから…




ヒロと広瀬さんは
九州で無事…
結婚式をし…


僕も
出席した…





結婚式の後…

ヒロはお腹に赤ちゃんがいたので参加出来なかったけど…



朝まで…

広瀬さんと飲んだ…


後から聞いたら…


結構…
酔っ払った僕が…

広瀬さんに相当絡んだみたいだけど…



僕は…
全然覚えていない…



…………………


数ヶ月後…………






ヒロは…

可愛い女の子を無事出産した






それからも
僕は…

広瀬さんと一緒に仕事を続け…


休みの日は
ヒロに似た…
可愛い…ミサキを連れてみんなでバーベキューに行ったり…

冬はスキーに行ったり…



家族ぐるみで付き合っていた…






ミサキ三才になった
ある日…





ヒロから電話があった…






タクちゃん
自転車で転んで…
怪我したみたいなんだぁ

ドジなんだからもう!




その時…
広瀬さんは初めての大きなプロジェクト
九州に出張に行っていた…





今さっき
九州のお母さんから電話があって…
すぐに来てって言うんだよ~

自転車で転んだ位で…
ホントに大袈裟なんだから~

でも
今年のお正月も仕事が忙しくて九州に帰れなかったから…
多分ミサキの顔みたいんだよ~
ちょっくら里帰りして
親孝行してくるね

だから…
今の仕事…シュウジに任せてもいい?





あぁ
いいよ~

でも…
広瀬さん大丈夫なの?




うん!
なんか骨が折れたから入院してるみたいだけど…


向こうに着いたら…
すぐに連絡するから…





オッケー
こっちは心配しなくていいから
たまにはゆっくりしてきなよ!





うん!
そうする!
ありがとう!
じゃあよろしくね!










それっきり…





ヒロからの…

連絡はなかった…

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