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レット・イット・ブリード

2006年12月09日 02:11

レット・イット・ブリード

僕は、例えば絶叫マシーンみたいな乗り物には極端に弱いけど、それ以外のものには、多分他の人より比較的強いと思う。

その一つが血だ。

今日怪我をした。カッターで紙を切っていて、親指の腹をザックリとやってしまった。ザックリという表現は決して大袈裟ではなく、本当にそういう音がした。もうちょっと気持ち悪く表現すると(でも事実を正確に表現すると)、切れた肉片が指からぶら下がっていた。

不思議なもので、切れてからしばらくは血が出ないということを知った。その傷口をしばらく見ていると、やがて血がどっと出てきた。

一度出始めた血はもう止まらなかった。

ドクンドクンと脈打って際限なく湧き出る血を見て、さすがにヤバイかなと思い、止血を考えた。ティッシュペーパーは紙片が傷口に入るから良くないと誰かに聞いたことを思い出して、仕方なくハンカチを使った。ハンカチを傷口に当てる時に、ぶら下がってる肉片の扱いに一瞬迷った。いっそこいつを取ってしまった方がいいのか。考えた末に、肉片を元あった場所にそっと戻して、その上からハンカチをかぶせることにした。

しばらくその状態でジッとしていた。
指先が、それ自体が意識を持ってるかのように絶えずドクンドクン脈打っている。

その間、どういう訳かローリングストーンズの「レット・イット・ブリード」という曲が頭の中で響いていた。
僕はこの曲の、イアン・スチュアートという人が弾いているピアノ大好きだ。そんなことはどうでもいいのかも知れないけど、そんなことを思いながら過ごした。
さらにどうでもいいことだけど、こんな指でもしピアノを弾いたら、ものすごく痛いんだろうな、なんてことも考えた。

ここで初めて痛いと感じた。
ものすごく痛い。
声も出ないくらいの痛みだった。もっとも、それまでも声を出していなかったから、見た目はそんなに変わらなかったかも知れない。


Let It Bleed/The Rolling Stones

このデジログへのコメント

  • banana_record 2006年12月10日 01:41

    きっと、脳が「痛い」と判断するまで時間が掛かるタイプなんです。ティラノサウルスとか松田優作のように。

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