腹8分目

人間なんてこのくるくると回る地球の上に掃いて捨てるほどいるわけで、その様は十人十色です。
痩せている人もいれば太っている人もいます。
足の早い人もいれば遅い人もいます。
大食いの人もいればちょっとしか食べない人もいます。
つまり、エンドウさんは大食いなのです。

失礼な話ですが、肥満の人が総じて大食いであるというイメージが強いかと思います。
俺自身は比較的よく食べるほうだとは自覚していまいすけど、さすがにどこかの大食い選手権に出場できるほどの大食いではありません。
しかし、実際問題としてエンドウさんは他の人より食べることのできる量は多いですし、加えて痩せ型の体型なので、大食いのイメージはよりいっそう加速されていることと思います。

では、どのくらい食べることができるのかといいますと、例えばミスドのドーナツ。
ミスタードーナツさんは割りと頻繁に広告を出していて、それにクーポン券がついていますね。ドーナツ10個まで105円とか、30%引きというやつです。
あれをひとりで使います。
一食としてドーナツ10個を平らげて、デザートにアイスクリームを1カップぺろりといくような、デタラメな食べ方ができるんですよ。
それでいて体重に大きな変化がないので、女性からしてみれば悪魔的です。

さて、そんなエンドウさんは高校からの友人であるT君と飲みに行きました。
予定していたことではなく、たまたま学校帰りに出会ってしまった流れで突発的に決めたことだったので、適当に店を選んで扉を開けました。そうしたら・・・。
「ラストオーダーは9時30分になりますがよろしいでしょうか？」
店に入ったのが9時過ぎだったので、これは余裕のあるものではありません。しかし、店を選びなおすのも面倒だったので「あ、いいっす～」なんて軽いノリで決めてしまいました。

とにかくラストオーダーまで時間がありません。
エンドウさんとT君は頼みたいものは一度で注文してしまおうと示し合わせて、オーダーをお願いしたんですよ。
土手煮、軟骨唐揚げ、刺身盛り合わせサラダ、串焼き盛り合わせ(10本)、水餃子、キムチチャーハン、キムチオムレツ、特製ジャンボトンカツ、フライドポテト、チョコパフェ(2つ)。
飲み物は俺が冷酒二合、T君が生中3杯でした。

注文した時点ではよかったのですが、続々と食べ物が運ばれてくる様を見て後悔しました。
頼みすぎた・・・。
特に、まだ皿がいくつも残っている状態のところに無情にもチョコパフェがふたつ置かれたときはどうしようかと思いましたよ。

ふたりして何とか片付けたのですが、終盤になると飲み込んだものが胃袋に無理やり詰め込まれるような感覚を感じるに至り、とんでもない状態でした。
いやあ、久々に食べ過ぎて動きたくないという状態になりましたよ。
おなかが食べた分だけぽっこりと出ていまして、帰り道でヤンキーに襲われても致命的な反撃ができるぐらいにぽんぽんでした。

さてさて、がつがつ食べておいてなんですが、食べすぎは体に悪いものです。
大量の食べ物を消化しようとして胃に負担がかかってしまいますし、そのために血液が使われるので頭に回る血液が少なくなり思考が鈍ります。
食後に眠くなってしまうのはおそらくこの関係ですね。

腹8分目がちょうどいいとよく耳にします。
しかし、胃に食べ物が入り、脳がそれを認識するまでにはタイムラグがあるそうです。
ですから、頭で「そろそろ腹8分目だな」と意識する頃には胃袋はもういっぱいになっているのですよ。
それを回避するためには「ちょっと足りないかな？」という程度で箸をおくのがいいでしょう。それでちょうどいい塩梅になると思います。
今は若さゆえか食べ過ぎても消化できてしまいますが、いつまでも若いつもりでいると飛び出たおなかが元に戻らなくなりそうで軽い恐怖です。
とりあえず、晩御飯は3杯の茶碗を2杯に減らそうと目論んでおります。

余談ですが、今の時期はバーベキューや焼肉が盛んに行われますね。
肉屋のアドバイスとしては、ひとり当たり200～300グラムが量の目安になります。
客の中には「お兄さんだったらどれくらい食べる？」なんて聞いてくる人もいますが、エンドウさんは1ポンドステーキ(約４５０グラム)をがつがつ食べてしまうので参考になりません。
個人の許容量によりますし、野菜やアルコール、その他の食べ物によって変動があるので一概には言えませんが、大体上記の分量で計画を立てれば間違いはないでしょう。