間違い電話

電話番号というのは、当たり前ですが数字の羅列です。
誰が考えたのかは知りませんが、数字の組み合わせで個人への連絡先が確保できるなんて、改めて考えてみればすごい発想ですね。
単純なのに高性能です。

特に携帯電話が普及してからはその力が最大限に発揮されているような気がします。
大好きな彼への直通ダイヤル。いつでも、どこでも、何度でも「声が聴きたくて」ができてしまうわけですよ。
心の中にある想いも届くprettyvoiceかもしれません。

さて、便利な電話番号ですが、限られた枠内での数字の組み合わせが弱点に転じる場合もあります。つまり間違い電話ですね。
数字がひとつでも間違ってたら全然違う人に繋がってしまったりするわけです。
「今何してる？」なんて甘い声で切り出したところに、「ぶひっ、アンタ誰？」と返ってきたらもう最悪です。愛しい気持ちも萎えますよ。
ときめきを返せこの野郎。

それはよいとして、エンドウさんの携帯にも間違い電話がかかってきたのです。
とんでもなく汚い部屋の掃除をしていたときでした。閑散とした部屋に着信音が響きます。

泣きたいところは一人でも見つけられる♪

導入したのはいいものの、エンドウさんに電話する人なんていないものだから出番のなかった『SMILY』が鳴っていて、もうドキドキします。
昔の女（いません）が「やっぱり貴方が好き！」なんて言ってきたらどうしようかと思いながら発信元を見たら、知らない番号じゃないですかもう。

業者だったら二秒ぐらいで向こうが切りますが、いつまでも大塚愛が歌っているものだから出てみたわけですよ。
そうしたら、なんか物を漁るような音しか聞こえないものですから、いたずらかと思って切ってやりました。

しかし、またかかってくるんですね。
鬱陶しいことこの上なかったので、登録外着信拒否にして放っておきました。
そして、しばらくしてから見てみたら、同じ番号からの不在着信が何件も・・・。

これはもしかして、誰かが勘違いして俺の番号にかけてきてるんじゃないかと。
だったら「アンタ間違えてるよ、ばか」と間違いを正してやらねば、いつまでもかかってくるかも知れません。
仕方がないので登録外着信拒否を解いて、もう一度かかってくるのを待ちました。
そうしたら、案の定かかってくる未知の番号からの着信。

「はい、もしもし？」
「あ・・・ナカムラさんですか？」
「あー、全然違います」
「すいません！失礼しました」

これで終わり――のはずですが、この野郎は違うって言っているのに二時間半後にまたかけてきやがるんですよ。

「はーい、もしもし」
「あの・・・ナカムラさん、ですか？？」
「あー、また間違えてますよ～」
「あ・・・すみません」

もう、なんなんですかこの野郎は。
もし今度かかってきたら、
「はいっ！大塚愛です！7月13日に9枚目のシングル、『ネコに風船』をリリースする予定だからぜひ買ってください。今回もCD単品と、DVD付きの2パターン用意しているから、好きなほうを選んでね。でも、両方買ってくれると嬉しいな☆」
なんて言おうと思って、かかってこないかな？いや、むしろかけてきてくれと、王子様に恋焦がれる乙女のように待っていたのですが、かかってくることはありませんでした。
まったくもう、がっかりですよ。

かけ間違いや覚え違いによる間違い電話は、連絡を取ろうと思った人につながらない上に、間違えてかけた相手にも迷惑がかかる場合があるので気をつけましょう。
まあ、携帯に限って言えばきちんと登録してしまえば間違えなどないわけです。
しかし、誤って登録してしまう場合もありますので、その点にも注意が必要ですね。