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ゴッホの手紙

2010年12月12日 04:12

ゴッホの手紙

アルル(南フランス) 1888年 9月 

(1890年7月にゴッホピストル自殺


愛するテオ

やっと君に小さなスケッチを送ることができる
まだ構想中の仕事だが、ほんのアイディアだけでもいいから
君に知らせたいと思ったのだ。
というのは今日はとっても気分がいいからだ。

僕の目は未だ疲れている。
しかし頭の中に新しいアイディアが浮かび、ここにこうしてスケッチをしてみたわけだ。

これは30号のキャンバスに描くつもりでいる。
こんどのこれは僕の寝室だけを描く。
そして色彩にいろんな働きをさせる。
単純化によって、事物により大きなスタイルを与える。

そうすることによって、この絵では、休息とか睡眠とかいったものを暗示してみたいのだ。
一言で言えば、この絵を見たら、誰もが頭脳を休め、
想像力を休めるように、そんなふうに描きたいと思っている。


壁は淡いバイオレット、床は赤のタイル
ベッド及び椅子の木の色は新鮮なバターの黄色。
シーツと枕とはきわめてあっさりした、緑がかったレモン色。

ベッドの上掛けは赤。窓は緑。化粧台はオレンジ色、水鉢は青、ドアはライラックの色。それで全部だ。

ブラインドの閉まったこの部屋には他には何も置かない。
家具は大きい線で書き、侵しがたい休息を表現するようにすべきだ、と考えている。

壁には数枚の肖像画を置く。それから鏡とタオルと布切れとを添える。

額縁だがーーこの絵には白を使ってないのでーー白がいいだろう。

 この絵は、僕がやむをえず受け取った、例の強要された休息に対する返報として書くのだ。

僕はこれを仕上げるために、もう一日頑張ってみるつもりだ。いずれにしても君は、構図の単純さというものにすぐ気づくだろう。陰影だとか、陰影のなげかけだとかいったものは、全部省略してしまった。

日本の版画にみられるような、ひらべったい線の陰影を使って、かかれるはずだ。この絵はたとえば、「タラスコンの乗合馬車」とか「夜のカフェ」とかの作品とは、およそ対照的なものとなるだろう。


 僕はいまのところ、のんびりと長い手紙など書いてはいられない。なぜと言うに、明日は早起きして、涼しい朝の光線の中で仕事にかかりたいからだ。このカンバスを描きあげるために。

相変わらず苦労をしているのか?--だったら、そのことを忘れずに話して聞かせて欲しい。君が数日中に手紙をくれるものと僕は思っている。

寝室のスケッチをもう数枚近いうちに君に送ろうと思う。

心から握手を送る。

常に君のものなるヴィンセント

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