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雨の物語

2008年08月28日 19:16

秋の長雨と言うには少し早い気もするのだが

天気予報では も少ししたら暑くなるらしいが

気温的には秋 少なくとも秋と認識しよう

まあ 秋か夏かなんてのは今日のログに関係ない

関係あるのは 『雨』

思い出すのは4シーン


雨の物語


シーン1  恵美子

全てが終った後 恵美子は自分が人妻だと告げた

わたしの答えは「些細なことだ」

夫がいるのに軽蔑した?との問いに

無意味浮気する人はおらんでしょ」そう答える

そして彼女は 浮気の理由、身の上を話し始めた

わたし的にはどうでもいいことだが

話して楽になるならと聞くことにした

彼女の声は妙に雨に似合っていた

意識してのことじゃないが

雨音にのせて話す速度、少し高い声

内容はともかく心地よかった

時々言葉につまる 無言の空間

雨音だけが響く 普通なら息がつまるような間

それすらも 楽しくさえ感じる

「続けられる?」「つらいなら止めてもいいよ」

その言葉に再開をする話

内容は取るに足らないこと

誰だって思ってること 浮気の理由になるなら

誰もが浮気を許される そんなこと

例えば 彼女だった頃 許された失敗が

主婦になったとたん 責められる

当たり前なこと 責任の重さが違う

女性の視点から見れば 不公平に見えるが

男だって同じ 

彼氏だったら「わるいわるいごめん」と

笑って済ましてたことが旦那になったら許されなくなる

それが他人が家族になるために発生する規則

それを理解する人は少ない

まだ終らない彼女の嘆きは雨音に溶けていく





シーン2   由香里



土砂降りの雨の中 由香里に呼ばれ公園に来た

倉庫の軒下に彼女は寄りかかっていた

草色のレインコートを着ている

「お待たせ」

「早かったね」

「ちょうど着替えていたからね」

「そか」

「で、何があった?」

「何でわかったの?」

「こんな日に ただ来てと電話もらえば何かあったと思う」

「さすが、ちょっと聞いていい?」

「なに?」

「なんで肩に手をまわして引き寄せられてるの?」

「知っての通り わたしは大きな声を出すのは苦手」

「うん 知ってる」

「この雨じゃこうでもしなきゃ聞こえない」

「納得した」

「で、何があった?」

「うん、仕事でね嫌なことあって」

「ふむ」

「思いっきり汚い女って言われてさ」

「何となくわかった気がする」

「うん、禁止されてることされそうだから注意したら」

「何となく 想像できる」

彼女の仕事は風俗 そして禁止事項とは

オモテなので自粛するが そういうこと

「雨の後ってさ」

「うん」

「何もかも洗われたみたいでいいよね」

何となく この先の展開が読めたわたしだった

「あのさ」

「なに?」

「裸になって雨に打たれるってベタな事 考えてない?」

「うっ.....」

「図星かよ」

「だってさ そんな気分なんだよ」

「止めはしないけど」

「うん」

「明日仕事だけど午後に行けばいいし」

「ありがと じゃ 濡れてくる」

そう言ってコートを脱ぎわたしに預け雨の中へ

夜で土砂降りとはいえ コート一枚でここまで来たのか

そう思いながら 雨に打たれる由香里を見る

人が来たら どうする気だろうと思いながら

よほど嫌な事があったのだろうと思った

じゃなきゃ こんな事をする女じゃない

彼女の気の済むまで わたしは眺めていた





シーン3   恵子



電話が一回なり切れる

そして再度なる

「もしもし 」

「あのさ 大雨だ 大雨」

「そうだね」

「傘持って駅まで来てくれ」

「ほい」

「あ この間買った新しいのな」

「ほい」

「いいか まだ袋に入ったままだ 汚すなよ」

「了解」

「絶対袋から出すなよ あたしが初めに開けるから」

「はいはい」

そして 袋に入った傘を持って 出ようとした

「おや、 傘がない」

そういえば 先日 恵子さんに傘を貸したら

どっかに忘れてきたとかで

傘がない 行かなくっちゃ 君に会いに行かなくっちゃ

と 歌ってる場合じゃなかった

傘はここにある しかし 使うことは許されてない

他に傘はない 答えは 使える傘はない

わたしは 急遽 風呂の用意をした

当時 自動焚きの風呂は珍しい

これは蛇口からお湯が出るのだが

一応 時間指定が出来るタイプだったのが幸いだった



そして 駅まで向かった

傘を手に持ちながら ずぶぬれ

かなり異様な光景に違いない

駅について恵子さんを発見

手帳に何かを描いている

普段からは想像出来ないが こういうところだけはマメで

暇があれば デザインアイデアノートに描いている

傘を差し出す わたしに気づく

「遅い...って 何 そのずぶ濡れは?」

「誰かが 傘忘れてきてな 家に傘がなかった」

「あるだろ そこに」

「確かにあるな 開けるの禁止されたのが」

「あ、 そか でもなあ お前さ」

「一応 あんたの命には服従だろ」

「お前の場合 気分で服従だろ」

「さて どうだろ」

「とりあえず 帰って風呂作らなきゃな」

「用意はしてきた」

「ぬ、抜け目ないやつ」

そして 帰宅し わたしは風呂に入った

上がると 珍しい光景を見た

恵子さんがキッチンにいる

「おう あがったか 今 熱いおじや作ってるから」

「そいつは ありが... 待て待て」

「ん、なんだ?」

おじやだよな?」

「おう」

「そのどんぶり飯入れる気か?」

「そうだが」

「鍋から溢れるぞ」

「まじ?」

「それに その大量の砂糖は何?」

「あ? 入れなかったっけ?」

「そりゃ少しは入れるがそんな大量には入れん」

「実は おじやって初めて作る」

「ちと どいててくれ」

「おう」

「ちょっと待て」

「なんだ?」

「なぜ タオルを持ってく?」

「いや 全裸料理する男も絵的にいいかなと」

「アホか あんたは」

「アホというか?」

「あ 待て 今 火使ってるから話は後だ」

「おう じゃ あたしも風呂入ってくる」

かくして 甘いおじやを未然に防いだわたしは

ついでに味噌汁も作ってテーブルに並べる

「ああ さっぱりしたぜ」

恵子さんが風呂から上がってくる

「あんたさ 隠すとかしないのか?」

「公平にしただけだが」

「まあ 確かにそうだが」

オモテでは ここまでが限界

この先は 想像におまかせします





シーン4   千恵子



雨がぽつぽつ降ってきた

わたしは傘を持ってなかった

幸い濡れて困るものは持っていない

雨を無視することにした

わたしの行き先は ここから徒歩15分ほどの

千恵子のマンション

まあ 濡れてもなんとかなる

いつしか 大雨になっていた

まわりで 慌てて走る人たち

余裕ぶっこいて歩いてるわたしはかなり目立ちそうだ

「やがみくん」

その声に振り返ると 千恵子がいた

彼女もびしょぬれだった

「なんでずぶ濡れ?」

「こんなに降るとは思わなかったの」

「ふーん」

「で、やがみくん見つけたから」

「あのさ」

「うん」

「毎回言うけどさ」

「うん」

「君 バカだろ」

「えっ」

「普通 その大きさの傘 後ろに隠しても隠し切れないし」

「あ、気づいてたの?」

「普通 気づく それに」

「うん」

「二人してずぶ濡れになってどうする?」

「そうだけど やがみ君 濡れてたし あたしだけ無事じゃ」

「それが馬鹿だって もしこれで二人とも風邪引いたら

誰が看病するのさ」

「あ、でも その場合 あたし頑張るから」

「やっぱ 君 馬鹿だ」

そう言いながらも わたしが濡れてるから自分もって

嫌な気はしなかった 本当に 健気な子だと思った

後で たくさん 可愛がってあげようと思ったわたしだった

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