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ガチであった体験を小説っぽく書いてみた①#思い出ストーリー

2023年03月30日 10:19

まさか、どこにでもいる平凡な、容姿も体型も普通の独身35歳のサラリーマンの僕が、出会い系で、こんなに刺激的な思いをするなんて。
ネットの出会いなんて、自分には関係ない。
そう思い、毎日家と会社を往復し、休日はたまに飲みに行くだけの平坦な日々を過ごしていたときには、想像もしていなかった。

2020年、初夏。平日の昼間だというのに、僕は自宅アパートの一室でヨレヨレのスウェットに身を包み、生気の抜けた顔をしていた。鏡を見ると、ヒゲが伸びた顔色の悪い自分が映り愕然とする。
僕の生活は、すっかり変わってしまった。コロナのせいで。
取引先に飲食店が多い僕の会社は、感染対策でのテレワーク開始と同時に、売上が大幅ダウンした取引先から次々と契約を切られた。
外出は自粛、外での飲み食いは悪とでもいうような雰囲気の中、飲食店からの新規の契約などもちろん入らない。
暇なテレワークの上、飲み会はもちろん、同僚との雑談もなくなった。
一人住まいの僕は、人との接触が完全に断たれた日々を送るうち、孤立を深めていった。
ズルズル、ズルズル……。相変わらず予定のない休日に、食べ飽きたカップ麺をすすりながら、もういい年の男だというのに、僕はいつのまにかすすり泣いていた。
「もう、1人飯は、辛い……」
寂しさを紛らわそうとテレビをつける。ワイドショーコロナのことばかりで、余計に気が沈む。
「……せめて、誰かと夕飯が食べたい。楽しく喋りながら、カップ麺以外の美味い飯を食べたい……」
ベッドに寝転がり、時間つぶしのために、今日もスマホでWeb漫画の無料版を漁って読む。
そのとき、ある広告が目についた。
「……出会いサイトなら、一緒に食事する女の子の1人くらい、見つかったりするのか……?」
このくすぶった状況を打破したい。
そう思った僕は、そのサイトに登録し、食事相手を募集する書き込みまで済ませた。出会いサイトを使うのは初めてのことだった。
ブブブ、ブブッ。数分後、震えるスマホを開くと、ある女性からの1通のメールが届いていた。


翌日、日曜日の午後6時。僕は、渋谷駅ハチ公口にいた。数ヶ月ぶりに、人と会うために。
しかも、相手は27歳の女性。昨日登録したサイトで知り合った、ルナという名前の女の子だ。
半ば信じられないが、昨日書き込みをしてからすぐに彼女からメッセージが来て、『明日空いているならご飯に行きましょう』という話になり、あっという間に約束をしたのだ。
ネットで知り合った女性と実際に会うなんて経験のなかった僕は、いざ待ち合わせ時間になると少し緊張していた。
ハチ公付近でキョロキョロすると、目印と言っていた、赤いロングスカートに黒いトップスを着こなした女性が立っている。
顔を見ると、プロフィール写真通りの、ブラウン色をしたストレートセミロングヘアが美しい、スラリとした女性だった。
まさか、あんなに綺麗系の子が、ルナさんなのか……?
予想以上に見た目の良い女性に、ドキドキしながら声をかけると、彼女笑顔で僕を見て言った。
「こんにちは、ダイキさんですか? 初めまして、ルナです」

ざわつくイタリアン酒場で、ドリンクサラダパスタなどの適当料理を頼み、ルナに話しかける。
コロナのこんな状況なのに、来てくれてありがとうございます」
「私こそ、ありがとうございます、私の行ってみたかったお店を予約までしてもらっちゃって」
ルナの笑顔に僕の緊張は解けていく。
「とんでもない。僕は仕事で飲食店に関わっているので、こんな苦境こそ、来店して応援したい気持ちもあったので」
「ああ、そうだったのですね。それは大変。うちのお店も、やっぱり客足が減りました。あ、私、男性専用サウナの受付の仕事をしているんですけど」
ピンク色マスクをしたルナの、綺麗に化粧をした目元は綺麗だが、まだわからない。マスクを外すとガッカリ、というケースが多々あるからだ。
「……、!」
だが、マスクの下の彼女の顔に、僕は釘付けになった。

---つづく---

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