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雪子が夏樹と再会すシーン
2020年08月07日 00:48
あたし、この、雪子が夏樹と再会するシーンが好きなのよね。
ってか、自分が書いた小説とは思えないんだわん。
まるで、自分が知らないもう一人の自分が書いているみたいなのでありんす。
やっと、さっきこのページの編集が終わったんだけど
一行を編集するのに2日もかかってしまったのだ!あう。
ではでわ・・・。
再会・・・その4
簡単な事じゃなかったから・・・ か・・・。
そうよね?確かに、雪子にとっては簡単な事じゃなかったのかもしれない。
それに、まさか、雪子があんな事をするなんて思ってもみなかったし。
もし、あの事を夏樹さんが知ったなら、どう思うんだろう?
本当は、お正月に夏樹に会った時に話さなければいけないと裕子は思っていたのだが。
「簡単な事じゃなかったはず」と言った夏樹の言葉に、あの事を話すべきか少し迷い始めていた。
「でも、それじゃ~、どうして雪子と別れたの?」
「さぁ~ね~。きっと、若気の至りってやつかしらね」
「でも・・・」
「でも・・・な~に?」
「な~にって、あなたは何とも思わないの?」
「何を・・・?」
「何をって、雪子とメールをしてて何とも思わないの?」
「思うわよ、懐かしいわね~って」
「そういう事じゃなくて・・・。う~ん、なんて言ったら・・・」
「きっと、あんたの聞きたい言葉は出てこないと思うわよ」
「確かに、あなたと会話してるとそう思うけど。でも、雪子を見てるとそうは思えないのよ」
「何、言ってるの?あやつだってもう若くないのよ。しかも、ちゃんと家庭もあるんだしね」
「それじゃ、もし、雪子が今も独身だったら?」
「あんた、ずいぶん、そこんとこにこだわるわね?」
「別にこだわってるわけじゃないけど・・・」
「自分で自分の心を傷つけ続けながら・・・。きっと、あんたには、あやつが隠し続けてきた心の傷が分かるのね」
「知ってたの・・・?」
「さぁ~ね。ただ、あやつの性格を考えると、そんなとこかな?って、思っただけ」
「そこまで分かってて、どうして、他人事みたいに話すの?」
「あんたバカじゃないの?」
「え・・・?ってか、バカってちょっとひどくない?」
「そんな事より、いい?今のままのあやつから家庭を奪うような事になったら、あやつは、心にある傷とは違う悲しみを背負う事になるのよ?それだったら、たとへ自分の感情を隠したままだとしても、今の家庭の中で幸せを感じていた方がまだいいんじゃないの?」
「でも、それじゃ雪子の気持ちはどうなるの?」
「あやつはね。思い出の中でならいくらでも涙を流せる子なの。そして、そんな悲しみの時間だけが、あやつのささやかな幸せだと思うの。今の生活を壊して家族を悲しませてまで、自分が幸せになりたいなんて、あやつは望まないと思うわよ」
知ってるんだ・・・。裕子は、夏樹の言葉に自分が話す次の言葉が見つからなかった。
夏樹さん、あなたは知ってるのね。
今日まで雪子が隠して生きていた、あの子の心の中にあるものが何なのか・・・。
それを、あなたは知ってるのね。
裕子は、夏樹との会話の中で1つだけ分かった事がある。
いや、分かった事というより、それは確信に近いと思った。
夏樹と雪子・・・お互いが同じように過去の事、終わった事だと思っているのではなくて、そう思わなければいけない、懐かしい思い出のままでなければいけない。
そして、その意味も分かっているから、夏樹も雪子も必死で自分の感情を抑えているのかもしれない。
もし、自分の感じた事が間違っていなければ、二人は再会してはいけないのかもしれない。
そう思うと、裕子は、あの人に想いを求めてはいけないと知っている雪子の気持ちが、とても悲しくなってしまうのである。
「とりあえず、こっちに帰ってきたら連絡を頂戴?」
「うん、分かったわ。それじゃ~また」
夏樹は、人混みの中で買い物をしながら、数日前に話した裕子との会話を思い出していた。
とはいえ、別に、これといって欲しい物があるわけでもない。
とりあえず、お刺身でも買って帰る事にしようかしら?
夏樹は、混んでるレジの中で空いてるレジを見つけて早々に会計を済ませて玄関へと向かった。
スーパーの玄関の近くにお花屋さんがあるので、少しお花を眺めながら、その視線を混んでいる玄関の方に移した夏樹は、玄関の方へ歩きながらコートのポケットから携帯を取り出してボタンを押した。
「裕子か、悪いな・・・。お前に会えなくなった・・・」
来る時は晴れていたのに、玄関の外を見ると大粒の雪が冬の景色を飾り始めている。
突然湧き上がってくるやり場のない悲しみを、そっと閉じた瞳の中で笑みに変える夏樹。
再び開く優しい瞳の中に映る夏樹の視線の先には、悪戯っぽい瞳で微笑んでいる雪子がいた。
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