オナニー一ヶ月禁止令

性欲を発散する方法は、何もオナニーやセックスに限られたことではありません。
趣味に打ち込んだり、運動に励むなどして性的ではないアポローチから処理することができるのです。
しかし、別の捌け口から発散するのではなく、単純に性欲を我慢するというのはエンドウさんの経験上から言いまして非常に難しいことであると思います。

話は中学生の頃まで遡ります。
当時のエンドウさんはとあるラジオ番組の熱心なリスナーでした。
パーソナリティーの人のキャラクターも関係していたのか、性的な話題にも触れる内容であり、セックスを夢見る少年としては少しばかりどきどきしながら毎週の放送を楽しみにしていました。

そんなラジオ番組にて、あるとき「オナニー一ヶ月禁止令」というまったく意図の読めないリスナー参加型企画が行われました。
どういった経緯でそれが始められたのかは定かではありませんが、リスナーからの提案であったかと思います。
今思えば性欲をわざわざ我慢するなんてバカみたいで、とてもそんなことをする気にはなれません。
しかし、熱心なリスナーであったエンドウさんは「俺も他のリスナーと一緒に一ヶ月耐え切るぜ！」と禁オナニー生活に突入したのでした。

スタートを切ってからの数日間は楽なものでした。
血気あふれる中学生とはいえ、毎日性欲処理に勤しんでいたわけではありませんから全くと言っていいほど問題はありませんでしたよ。
ちょっと溜まったものを抜きたいなあ・・・と思っても、目の前にある宿題やマンガなどに向かえば性欲は沈下していきました。

もどかしさを覚え始めたのは一週間が過ぎたあたりからでした。
勉強は少しばかりわずらわしいけれど毎日の学校生活は楽しいし、友人との関係も良好です。
ただ、ひとつ足りないのは性的快楽でした。
手淫とは異なる手段で性欲の発散はできるとはいえ、それはあくまでいつでもオナニーができるという安堵を前提としたものであると思います。
しかし、エンドウさんは最後の後ろ盾をあえて禁止していたのですから、精神的に後のない状態でした。

二週間を過ぎる頃には辛抱堪らんという心境でしたね。
開始時は小便をしたり洗う以外にチンコに触ってはならないという自律を定めていましたが、どうにも苦しくなったので触ること自体は解禁しました。
萎縮した状態のチンコを触っていると、外的刺激に反応して勃起してきます。
それ以上は性的快楽を得るものになってしまうものになるので触れることはなりません。
泣く泣く手を離して、開放を求めて屹立するチンコに涙しました。

禁欲生活の末、ついに待ちに待った解禁日がやってきました。
一ヶ月なんてちょろいもんだぜ！と高を括っていた中学生のエンドウさんですが、予想をはるかに上回るヘヴィな生活に若干やつれていました。
しかし、自分で決めたこととは言え、そんな自虐的な生活ともようやくおさらばです。
もはや触れる前から、募るフラストレーションを発散してくれとばかりに硬く起き上がっているチンコを握り締めて強く上下に擦りました。
昇り詰めるのは刹那。果てるのは一瞬。
湧き上がる射精感を堪え切れずあてがったティッシュには、なにやら黄味がかっているやたらどろっとしたものが、少し出ました。

意外と知られていないことですが、精液はある一定量以上は溜まりません。
物理的に考えてみれば当然のことで、あのたいして大きくはない精巣に収まる精液の量は限られています。一ヶ月も溜まり続けたら爆発しますよ。
もちろん個人差がありますので許容量が大きい人はいますが、それでも有限です。
では、精子が次々と作られる中でタンクに収まりきらない精液はどうなるのでしょうか。

それはもうすごい簡単なことで、古いものから体に吸収されます。子孫を残すための能力こそ備えていますが、要はたんぱく質なので別の形で役立てられるわけです。
ちなみに黄味がかっていた理由はよくわかりません。濃度の問題か、少しばかり古くなっていたのでしょう。多分。

それにしても禁欲なんてするものではないということがよくわかった一ヶ月間でした。
性欲を処理することは、公共性はないにせよ自然な行為ですね。
むしろ我慢してしまって、積もりに積もったものがある瞬間に爆発してしまうことのほうが危ないですよ。
おかげさまで今ではオナニーに躊躇うことはありません。
機会さえ整えば迷わず発散へ。溜まっているものを出して、すっきりとした気分で他のことに取り組むというわけです。
とても健康的な生活であると自負しますよ。