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じゃあ!エロ本はどうなるのさあ!?

2010年04月19日 22:03

書評をメインにした人気ブログで知られる小飼弾氏。小飼氏がブログで紹介した本はベストセラーになると言われるほどで、自宅には出版社から月300冊もの献本が届くという。小飼氏に「本の未来」について聞いた(取材・構成/岸武史)

―小飼さんは、ブログなどで紙の本はいずれなくなってしまうのではないかと発言されていますね。

小飼 僕は100%なくなるとは言っていません。紙の本は90%なくなるでしょう。でも紙の本が完全になくなることはない。この問題で僕がよく例に挙げるのは、ポケベルファクスです。ポケベルは完全になくなりましたよね。なぜなくなったのかというと、携帯電話のメールで完全に置き換えが可能になったからです。一方でファクスはしぶとく生き残っています。確かにファクス電子メールなどで置き換えが可能になりましたが、電子メールでは、直接紙を送り込むという機能までは補いきれないのです。書籍や雑誌も、これから普及していく電子書籍端末に置き換えられるでしょうが、紙のもつ機能、つまり「再生装置がなくても読める」という機能まで置き換えられない限り、完全になくなることはないでしょう。紙の最大の利点は、紙それ自体が再生装置であるということなのです。

―小飼さんは、幼少期から大変な読書家だったそうですね。紙の本に対する親しみは人一倍あろうかと思います。

小飼 確かに僕は印刷された本が大好きです。しかし、誰もが自宅にこういう本棚を持てますか?(そう言って、約2万5000冊!が収容可能だという巨大な本棚を指さす)
この本棚の存在こそが紙の欠点なのです。本を置いておくにはスペースが必要なんです。数冊しか本を所有していない人は気にならないでしょうが、数百冊になったら収納する本棚が必要になります。さらに、数千冊、数万冊になったら、うちにあるような大きな本棚を買わなければいけません。この本棚は特注したもので、引っ越す時に奮発して、約200万円かけて作りました。この時、本棚の代金だけを考えてはいけません。この本棚を設置できる条件として、マンション不動産コストも考えなければいけないのです。では、数十万冊の蔵書がある図書館となったらどうでしょうか。不動産コストのほかに、インデックスしたりラベリングする人件費もかかってくる。僕の試算するところ、大きな図書館では、ただ本を一冊置いておくというコストだけで年間2000円以上の維持費がかかるのです。本代よりも高い。

電子化すればこんな大層な本棚は必要なくなりますね。

小飼 そうです。活字よりもデータ量が多いマンガでさえ、スキャンしてデジタル化したら、一冊100メガバイトくらいです。1テラバイトハードディスクであれば、1万冊のマンガが収納可能。今、1テラバイトハードディスクは1万円あれば購入できるので、たった数万円でこの巨大な本棚が無用の長物となります。
作る側のコストも減りますから、価格も下がります。電子書籍は紙代、印刷代がかからないという大きなメリットがあります。僕も著書の『決弾』『弾言』を電子ブックにしていますが、紙の本が一冊1500円なのに対して電子版は350円です。実は電子版のほうが売れ行きがいい。読者は紙の本でなくても、きちんと読むんです。一冊1000円が100円になれば、もっと読みますよ。例えば「ゴルゴ13」のようなマンガならば、電子出版にすれば一冊ではなく一話数十円で切り売りすることだって可能になります。価格が手ごろになり、わざわざ本屋に行かなくても済むようになれば、もっと本は読まれるようになるでしょう。

本棚ノスタルジアになる日

活字離れなどが原因で、本が読まれなくなっていると言われていますが。

小飼 僕はそれは一面的な話だと思っています。確かに本を読まない人は増えてきています。しかし、一方で読む人はますます読むようになっているんです。書籍や雑誌だけで考えるのではなく、ウェブページ、メールなども入れて平均して考えれば、読むという行為自体は減っていないし、むしろ増えているかもしれない。コレ(再び本棚を指さす)の制約を解いてあげれば、もっと本は読まれるようになります。今、日本の出版点数は年間9万冊と言われていますが、製作コストが下がれば、もっとたくさん出版できるようになります。コミックマーケットに出品されている希少本だって、商業ルートに乗せることが可能になる。僕はそういう本をもっと読んでみたいんです。同じような希望を持っている潜在的読者はかなりいるはずです。
電子ブックが当たり前の時代に、紙の本は贅沢品として残っていくでしょう。我が家本棚ノスタルジアになりますよ。万里の長城みたいに観光客が訪れるようになるかもしれない(笑)。

―そうかもしれません(笑)。では、アマゾンのキンドル、アップルのiPadは日本でも普及していくのでしょうか。

小飼 これからを考える前に、現状を考えてみましょう。たった数年の間に、日本の出版物の10冊に1冊が、アマゾンで買われるようになりました。なぜかといえば、本屋に行かずともワンクリックで購入できるのは読者にとって便利だったからです。この厳然たる事実を、日本の出版業界は考える必要があるでしょう。確かにアマゾンアップルには、売り上げを公表しないなど傲慢な部分があります。しかし、消費者の視点から見ればどうでもよいことで、安さや便利さに勝るものはありません。グーグルが今一人勝ちしているのは、サービスのほとんどがタダだからです。出版業界も最後は読者の側に立った方が勝つのでは。

―『フリー』日本版の帯に推薦文を寄せられていますが、あの本をどう読みましたか。

小飼 今の時代では、あの本に書かれていることは基本中の基本です。賛成とか反対とかいう問題ではない。僕がブログでやっている書評、あれもフリーです。ブログ読者は無料で僕のブログを読んでいますが、僕にはアフィリエイト収入が入ってきます。
しかし、『フリー』を読んで、肩肘を張ってフリーで儲けようとやったってダメ。儲けは無視して、とりあえずやってみようという気持ちが大事なのです。今の時代、ネットで上手くいっている人たちのほとんどが片手間で始めたのです。本業になったのはずっと後のことです。

―現在では想像もつかない形態出版業が近い将来出てくるかもしれません。

小飼 そうです。江戸時代には新書本とか、文庫本はなかったわけです。人々が読んだり、書いたりする間に試行錯誤の結果、今の形になりました。本が電子化していくなかでも、試行錯誤して形にしていけばよいのです。


■小飼弾(Dan Kogai)
1969年、東京都生まれ。99年にオン・ザ・エッヂ(現ライブドアCTO(取締役最高技術責任者)に就任し01年退任。現ディーエイエヌ有限会社代表取締役。著書に『弾言』『決弾』(アスペクト)など

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