スポーツブラでお願い

夜寝る時におやすみブラっていうノンワイヤーのスポーツブラみたいのを付けて寝るんデス
垂れるからさ・・・

こないだ普通のブラジャーに着替えるの忘れてて
会社におやすみブラのまま行っちゃって

仕事してる時に腕を組んだら
胸がフワッとしてるの

アレ？と思って背中に手を回したら
ホックがない…

おやすみブラだったww



腕くむのがなんとなく癖だから
脇に滑り込ませた指にふわふわのものが当たるのね

「あー。柔いわ。
こりゃ、男の人も触りたくなるの何となくわかるなー」
なんて思いながら



こないだのデートの時に彼にその日のことを話した

「よかったわ。◯◯さん(彼のこと)がおやすみの日で」
「なんで？」
「だって触りそうだもん。バレるじゃん。」
「笑」
「◯◯さんくらいだもん、服の中に手入れて来そうなのって。」
「え。いいの？触っても。」
「だ～め～」





そのあとの彼からのメールに不自然に指令が付くようになった

「…◯◯の件、◯◯日になりそうです。スポーツブラでお願い」

休憩室で一瞬吹きそうになる
「バカか(笑」って呟いてしまう

前に居る同僚の女の子が、どうしたのか聞いてきたけど
正直に理由なんて言える訳が無い

「ちょ、ちょっとね(笑」




彼はその後何度か語尾に「スポーツブラを」と付け続け

あたしは今日送ったメールの返信に
「さて、今日はどっちでしょう？(秘)」と付け足した




彼は午後から
あたしの周りをめずらしくウロウロしだして
あたしは忙しい振りをして知らん顔

メールで返してくれると思ってたのに…


顔見ちゃったら
恥ずかしくて
変なこと書いたの後悔した


珍しく下で作業してる彼の側を早足で逃げる

いつものエレベーターホール
上がるのボタンを押しながら彼が来ないように焦る




とにかく今日は会いたくないの！！！
恥ずかしいから！！！


て思ってるときに限って
ばったりあったりするんだな…

でも彼は荷物を持って通り過ぎるだけだったらしく
「今日はスポーツブラなんですか？」って小声で聞いて通り過ぎていった
「さあ。どうかしら？(笑)」
振り返ってにやっと笑う
「自分で確かめてみたら？」
通り過ぎていく背中に言った言葉は聞こえたのか聞こえなかったのか
そのまま扉の奥に消えていった


エレベーターで一度上がってゴミ捨てのためにもう一度降りて
最後に上がろうとすると
ホールの前にはまた彼の姿

…逃げれない
…もう他に無意味にここから消える用事はない
…ていうか、あれだけ誘うようなこと言って逃げれない…



降りてきたエレベーターには彼と仲のいいTさんが乗ってて
乗り込もうとする彼に話しかけた
「◯◯さん、あの◯◯が◯◯でですね…」

あたしは先に乗り込んで
とりあえず「開」のボタンを押しておく

彼はこちらに背中を向けたままTさんと話し込んでる
こちらを気にするでも無く
行って良いよって言う訳でもなく

「閉」を押してしまおうかという誘惑に駆られながら
彼とTさんの話が終わるのを待ってた

この場合待ってるのも変だったのかな…？
なんかあたし普通にとしようと思いながら
普通がわからなくなってきてる…


「じゃあ。あとは二人っきりにしてあげるからね」
Tさんがオヤジ特有のギャグかましながら扉を閉めてくれる
シャレになんないwって思いながらあたしは2階のボタンを押した


彼は
ニヤリと笑うと
あたしの左の胸を触った

少し強く

「痛い…」とあたしが言うのと
エレベーターが2階に着くのが同時で
彼は手を引っ込めると真面目な顔に戻ってエレベーターを下りていった



30秒とはいえ
久しぶりにふたりきりだったのに

胸掴まれただけかよぉ…