唇はすべての始まり…☆*:・°★:*:・°☆:*:・°

冷たい唇を、私の耳に押し付けて…
あの日私に囁いた、背徳の呪文をもう一度お願い。
何度でも聞きたいの、あなたの唇から聞きたいの。
その一言ですべてが始まったなんて、絶対に誰も信じないわ…
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あなたと私は、その始まりの時から、
慎ましくお茶をしたのでもなく、親しく食事をしたわけでもない。
オフィスの応接室の扉の陰で、あなたは素早く耳うちをした。
「君を抱きたい」…と、
その唇から発せられた、罪深いたったその一言だけ。
その一言がすべての始まり。
宙に浮いた言葉が、私を取り巻き、そして包み、盗んだの。
初めて交わす言葉がその一言だなんて…
怪訝な顔をする私に、あなたは畳み掛けた。
「お茶をしましょうなんて、僕は言わないよ。
ひとつが欲しければ、すべてが欲しいに決まっている。
君の顔を見ているだけでいいんだなんて、
そんな優しい嘘をつくほどに、僕は若くはない」

だからベッドに放り出すたび、その言葉を囁いて…
出会った瞬間に戻って、私を取り巻き、そして包み、何度も盗み返して…
耳を咬むようにして、私に言い含めて…

お茶するだけで十分な女だと、あなたに思われなくて、良かった。
唇を重ねたら、官能の果実の最後の一滴までも欲しくなる、
そんなあなたと私で、この午後を、永遠の時と錯覚し、泳ぎ渡るの。
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