初恋

初めて声をかけた綺麗な女の子とすぐ付き合えたので、簡単に事が運びそうに思われた。

彼女とはほぼ毎日逢って食事したり、その頃免許を取った僕は車を購入して何度も泊りがけの旅行をした。

１度だけそういう機会はあった、南の島のホテルで彼女がシャワーを浴びてタオルを巻いた姿で僕のそばに来てたたずんだのだった。
彼女との距離は１ｍ足らず腕を伸ばして抱きしめてしまえば幸せは掴めたはずだった。

しばらく僕は躊躇したあげく、その場にいたたまれなくなって離れてしまった。

このあと、旅行が終わるまでの数日間彼女の機嫌が悪かった。

２年ほどの付き合いだった

別れることになったとき

「あたしたち、何も関係ないんだよね」
「うん」
「借りたジャケットはあのまま頂戴ね」
「うん」

別れた理由は彼女が在日で結婚は日本人とは出来ないと言ったからだった。