【魔法少女カーマイン】16-1　フラグ

「遅刻、遅刻～」
小春が食パンをくわえて玄関から駆け出す。
「兄さん、自転車借りるね」
家の中から返事はない。有り難く小春は自転車をこぎだす
ぶーん
そんな擬音が似合う雰囲気で自転車は進む。
「よし、あの角を曲がれば～」
どんがらがっしゃーん！
おやくそくだ！
「うくく……いたたた」
しかし、状況がひどいのは自転車な小春の方だった。
なんと、ぶつかった相手は車椅子の儚げな少女だったのだ。
「申し訳ありませんわ」
あの衝撃的な衝突だというのに、車椅子の少女は全くの無傷だった。
「どんだけ頑丈なのよ～」
小春が起き上がり、スカートをはたいて整える。
「それでは、わたくしは急ぐので、失礼致しますわ」
車椅子の少女は一礼して転がして行った。

「……という事があったのよ」
小春はかすり傷の理由を茜に語った。
「フラグですね。でも残念。転校生は来てませんよ」
「本当に残念だわ～」
冗談ぽく笑う小春。

ざわざわ……
廊下が騒がしい。
「どしたん？」
「D組に美少女な転校生が来たんだ」
ざわめいてる男子のひとりが答えた。
「うーん。どうやら別のクラスへの転校生だったみたいね」

世の中はなかなかうまくいかないという話し。

続く！