趣味は読書、3.11

その日は金曜日で、僕は会社で仕事をしていた。
倉庫で働いていて、地震が起きた時、シャッターがガタガタ鳴り続ける中、あまりに長く揺れが激しいので、皆で外に出た。
おさまってから、仕事に戻ったが、夕方には酷いことになっていた。
電車も道路もダメだというので、翌土曜日も出勤だったので、帰るのを諦め、会社の休憩所に泊まった。
寝つかれない粗末な長椅子で、時々スマホを見ると、東北が津波で酷いことになっているのを知った。
自分のいた場所が一番酷かったと思っていた僕は、東北が一番酷いというのを知らされて、呆然としていたのだと思う。
翌、土曜日の夜、寮の部屋に帰ると、薄型テレビが倒れていた。
そして、日曜日、テレビは一日地震のことばかり。
今まで、映画でしか見たことのないような、津波や洪水、火事。　
モニターを通しているせいか、現実であるとは信じ難かった。
しかし、それは始まりに過ぎず、それから、僕らは暫く耐える日々に突入した。
僕は今、正直、それを忘れている。
辛く我慢した日々を忘れている。
それは、良いことではないだろう。