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日常の中の非日常

2005年10月22日 22:57

メイドカフェというものはご存知でしょうか。
要は喫茶店なのですが、給仕をする女性がみなメイドコスチュームを着用しており、お客様のご来店の際には「お帰りなさいませ、ご主人様お嬢様」とで迎えてくれる趣味的な店です。
gooの国語辞典で検索したところ、まさかの検索結果が表示され「メイド喫茶メイド女中)姿の女性店員による給仕を呼び物にする,喫茶店のこと。2000 年(平成 12)前後から,東京秋葉原などに登場し始めた業態。」と説明されていました。
関連してコスプレ喫茶というものもあるようで、これに関しては初耳でした。

近場に一軒のメイドカフェが経営をしていまして、その前を通るたびに様子を伺うことができます。以前に通りかかったときは、入店した客に丁寧な動作で頭を下げたり、恭しく給仕を行う姿が垣間見られました。
エンドウさん自身は若干引き気味で足を運んだことがないのですが、辛抱溜まらず単身で突貫した友人は「ほんとにご主人様って言われちゃったよ!どうしよう!?」と歓喜していました。そんなこと知るか。

メイドとは要するに女性お手伝いさんのことですが、割烹着に身を包んだ熟年女性のことを間違ってもメイドとは呼びません。
なんと説明していいのやら困るところですが、フリルカチューシャエプロン、大きなリボン胸元に締めたあのスタイルに身を包んだ若いおねーちゃん、という人がいわゆるメイドというカテゴリーに該当します。
日本でメイド(あるいはバトラー)を雇用できるような人間はおそらくほんの一握りであり、一般家庭においてはありえない存在ですね。
空から女の子が落ちてくるというほどではありませんが、一般市民にとってメイドという存在などまず縁がないものです。だから、仮初といえどもメイドに給仕をしてもらえるというのは、その非日常性を楽しむことに意味があるのでしょう。

ある意味でメイドというのは男性の憧れであります。
食事や身支度といった身辺の世話は当然として、下半身の相手も世話もしてくれるなんて歓喜狂乱。主人と従者という絶対の主従関係ならではのファンタジーです。
しかし、いくらメイドカフェに通いこもうとも、そこにいるメイドは真似事をしているただの女性であり、代金に対するサービスを提供しているだけにしか過ぎません。

そこで浮上するのがセクシャルな意味合いでのコスプレコスチュームプレイです。
一般的な意味では、アニメマンガゲームなどのキャラクター、学生やナースなどの職業の扮装をすることに当たりますが、セクシャルな定義ではその扮装をしたまま、あるいは一部を残したままセックスをすることになります。
コスプレできますという謳い文句に惹かれて風俗店に行ったら、コスチュームを着ていたのは対面時まででプレイ前に全部脱ぎやがった!というのは手抜きの性風俗でよくあることだそうで、これはコスプレとは呼べません。

コスプレエッチすると燃える」という話は割りと耳にするコメントですし、コスプレを売りにした性風俗もあります。イメージクラブが代表的でしょうか。
しかし、どのような服装で臨もうとも、大局的に行うことはいつもと変わらぬセックスです。コスプレであるがゆえに変化が生じるとすれば、せいぜい成りきりでシチュエーションを楽しむことぐらいでしょうか。

ただ、コスプレの魅力はその成りきりに尽きるのでしょう。
コスチュームというのは勤労や規律などを表すものであり、それに応ずるがために気持ちの切り替えとして着用するものです。
つまり、コスチュームを着用している間はセックスとは無関係の状態にあるということですね。性的妄想を逞しくするのは個人の自由ですが、コスチューム着用というのはセックスを拒否するスタイルなのですよ。
例えば、命を預かるといっても過言ではない看護士が勤務中に職務を放り出していそいそと情事に励んでいたとしたら、これはとんでもないことです。

コスチュームプレイ醍醐味というのは、非日常的な行為をしているという背徳感にも似た刺激でしょう。
人間という奴はモラルを守る、守らねばならないと意識する一方でそれを破ることに興奮を覚える不思議な生き物です。
ですから、禁止されているものや場所など、普段ではありえない状況下で行われるセックスは大いに興奮を呼び、大いに快楽を得ることさえできるそうです。
それは日常の中の非日常がもたらす気持ちよさなのでしょう。
ただ、その理屈で行くとコスプレのやりすぎはその非日常性を日常へと変質させてしまうので、マンネリ化しつつあるセックスにおけるアクセントとして取り入れるのが効果的な用法かと思われます。
例え大好きパートナーであっても常に同じ刺激を受け続けていては、いつしか慣れてしまい飽きを感じてしまいますからね。

まあ、エンドウさんはコスプレが必要になるようなマンネリを感じるほど普通のセックスを堪能していないので必要ないんですけどね。
ああ、そんなことを自分で言うのは少々悲しいものがあるかもしれません。

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