人間は見た目じゃないのよ

　そのはずなのよ。でも、「あいつ、ブスじゃん」の一言は女性の存在意義と人権を真っ向から否定し突き崩すだけの破壊力を持っているのよ！
　てワケで、近頃そんな女性達を観察するのが趣味の私です、悪趣味です。

　エッセイストの中村うさぎさんは「顔と内面は必ずしも一致しない。にも関わらず、何故我々は『顔』から相手を読み取ろうとするのか？」と問題提起をなさっていました。
　彼女のエッセイは品を欠く言い回しが多々見られるものの、「ショッピングの女王」シリーズの第三巻以降は「女性なるもの」「美なるもの」について鋭い観察と考察を含んでいるのでオススメです。

　思うに私たちは、相手の内面など見る事は叶わないのですよ。人間は見た目じゃない、けど、私たちには見た目しか見ることができない。

　もちろん外見に反映される内面の美しさもあるでしょう。服に気を使ってる、センスがいい、モノを大事にしている──だけどそれは、天性の容姿の美醜を覆すに至るものだとは限らない。
　むしろ美醜を前提とし、帰納的に相手の行動を理由付けることの方が多いのです。

　宴会の席で、ブスが食器を片付けている。
　宴会の席で、美人が食器を片付けている。

　前者は「外見が足りないから行動で点数稼ぎしてるんだろ」と解釈され、後者は「気立てのいい子だなぁ」と評される、そういう現場を何度も見たし聞いてきました。酔っ払いの口は軽薄で残酷ですが、その分、本音も丸出しです。
　友人たちを「あの子は美人、あの子は不細工」と判別し、そのような分析を行う私が一番の性格ブスなのは置いといて。
　周囲の評価は決して本人の内面（少なくとも「顔」よりは「行動」の方が、より本人の思考を反映しているはず）のみに拠るものではなく、容姿の良し悪しによって大いに変動し得るものだと、私は思うのです。



　だからといって何故、女性ばかりが「美しさ」を追い求めることになったのか、私はそれが気になって仕方ありません。
　そもそも「美しさ」って何だろう。見る者に快感を与えるもの、それは確かなんだけど。
　女性達がそればかりを求めて、他の能力を求めようとしないのは何故？　美は社会の発展に貢献するか？　することは間違いないけれど、「それだけ」では駄目でしょ？

　ブツブツ独り言を呟きながら、ブティック街を散策している今日この頃。箪笥の中に春物がなんもないわー、ダサくない程度に服買わなきゃなー。