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15th Route 246 Part 20

2014年07月09日 21:33

15th Route 246 Part 20

どこにでもあるようなラブホテルにしては
奇妙にいい音のオーディオが組み込まれていた。

さっきまでは
交通量の多い国道の轟音をBGMに
バルコニーでの狂気の露出性交をしていたのが
いまは
静かなスタンダードナンバーを聞きながらの
ねっとりとしたセックスになっている。
それはそれで、わけありの男女の
切ない不倫のようでもあり
結構な妖しさが漂よいだしている。
そのせいか
唾液を吸いあうごとに
乳房への愛撫をするごとに
ぬれた性器に指を遊ばせるたびごとに
アヌスの入り口を掻き上げるようにするごとに
息を呑み込むようにして
びくりびくりと身体を硬直させ
しがみつきながらシーツを濡らしてゆく。
しょせんは欺瞞のゲームに過ぎず
なんとなく二人で
それを演じているようでもあるのだが
あたかも許されぬ愛に
堕ちてゆくような風情があった。

のぼりつめるときに
「イク」
とシャウトする女性は多い。
「死ぬ」
とどなる女性もいた。
おまんこおお」
と叫ぶ女もいたし
「あかん。あかん。」
と繰り返すのもいた。
だが、
「あなた、ごめんなさい」
とわめきながら達するのは
後にも先にもこの女がはじめてだった。
秘めた不倫情交みたいな雰囲気だったから
この人妻呪詛はいつになく真に迫っている。

舐める。
「私、わたし、こんな人と…」
しゃぶる。
「いけないんです。感じちゃってるのよおお。」
吸う。
「とまらない。とまらない。いいのがとまらない。」
咬む。
「あなた。許して。いくの。いくのよお。」

バルコニーの全裸性交
あれだけ、激しく達しまくっていたのに
またもよがり狂う人妻の性。
正反対の静かなセックスでも
ここまで感じまくる人妻の性。

確かに、たかまれば
全身どこでもが感じる女だったが
ぼたぼたと愛液をほとばしらせ
桃色の狭間のすぐ下の右内腿に
理性をかなぐり捨てるスポットがあることは
何度目かの性交でわかっていた。
そこを攻めると極度に
そして急速に
淫乱な女に変貌する。
放尿露出
なんのてらいもなくすることもあれば
いまのように深く深く
じっくりと性を味わおう、とすることもある。
さまざまなバリエーション
ほぼ毎日のように繰り返してなお
男を求め続けるるその姿は
壮絶でもあったし
いとおしくもあった。
その発火点が太ももの内側にあった。

長い長い、舌と唇と唾液のせめぎあい。
長い長い、フェラチオクンニリングスの交錯。
長い長い、野犬の形での交尾
長い長い、向かい合わせに座っての交合。
長い長い、顔にまたがっての蠕動。
長い長い、自慰の見せ合い。

枕を利用し、
ベッドの段差を使い、
ソファに這い蹲り、
ドアにもたれ、
洗面所開脚し、
風呂場でひざまずいた。

BGMを聞きながら
ありとあらゆる場所を性具にかえ
ありとあらゆる場所を愛液まみれにしたが
もう放尿露出もすることなく
あくまで静かに、だがひどく真摯に性を求めた。
「あなたあ。あなたああ。」
「こんなにこんなにされちゃってる。」
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
「あああああああああ。」
「いくううう。いくのよお。」
「あなたああああ。」
アクメの波がおしよせる間隔が短くなり
身体の震えが大きくなる。
愛液の量も格段に増える。

激しい行為の後は
とても回復不能と思われていたが
この妖しいスローセックスのためか
ペニスはまた佇立を開始していた。
だが、一度の射精の後だけに
妙にしつこいうえに
うねりだすのに時間がかかったことが
かえって人妻を悦ばす結果となった。
長時間の前戯で再び限度に達した欲求。
それが見て取れたから
まったくの普通の正上位
粘っこいキスをしながら
ずぶずぶと挿入して、ゆっくりと送り込んだ。
「あ。あ。あ。」
「私、また感じてる。感じさせられてる。」
「この人が、この人がいいんです。」
「この人のが、いいんですうう。」
じゅぶじゅぶと愛液が染み出す。
こちらの腰の周りをべとべとにする。
抽送を速くする。
聞こえていたスタンダードのBGMが聞こえなくなる。
「もっと入れてえ。もっとついてください。」
さらに奥に突っ込む。
さらに速くする。
「いや。いやああ。」
「だめ。だめ。でもいいの。」
「あなたあああああ。」
さらに速める。
突く。
突く。
突く。
「またいくうう。もっといくうう。」
「うわああああ。」
寸前、飛び散っていた枕を
腰の下にあてて、さらに挿入の深さを増すと
そのまま、子宮めがけて
熱いザーメンを解き放った。
「ああああああああ」の声が先細りになる。
こちらはがっくりと女に覆いかぶさる。
異常に濃度の高い、静かで激しいセックス
どちらの意識ももはや定かではなく
BGMが耳に戻るまでには多くの時間が必要だった。

このホテルに入ってからすでに6時間あまりが過ぎていた。
狂気・淫乱変態めいた性交
そして妖しく静かで、深く濃厚なセックス
ようやく求めあうことに疲れたくせに
それでもなお部屋を去る前には
たったまま抱き合って粘っこいキスを交わす。
またしばらくは会えない。
愛人との別れの代償のように
身体をつないだりもしたこの人妻とは
しばらく会えない。
ラブホテルを出るときは
ようやく、という安心もあったが
これだけの満足感にしばしめぐり合えない、
という惜しさもあった。
なのに帰りの車の中で、この人妻
さらに刺激的な話を持ちかけてきた。

3ヵ月後、それが実現した。

(続く)

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