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故郷から

2014年07月01日 00:19

タダシが大学を卒業し、地元の小さな会社に就職を決め

実家に戻りローサとの生活が始まった


懸命に仕事をし、休日は両親の田畑作業を夫婦で手伝い

働いていない日はないほどだった


一方、ローサも近所の大口農家の手伝いをし

夫婦はいつも笑顔で、一日を終えられるほど働いた


翌年、待望の子供(女の子)を出産

どちらの国でも、愛嬌を持って呼ばれるよう

セリナ」という名前をつけた


愛妻と愛娘のためと、タダシは一層仕事に励み

3年後、次女「エレナ」を授かる


そして、セリナ4歳、エレナ1歳のとき


タダシは交通事故でこの世を去る




最愛の夫の死亡により、失意のどん底に落とされるローサ

食事は喉を通らず、育児もままならない



そんなローサの状態を知ってか

タダシの両親や近所の人たちがセリナやエレナの面倒を見てくれる




夫の死から半年、ローサはあることを考える

「私はこの国では外国人だから、仕事も簡単に見つからない
だけど、母国スペインでなら両親もいるし
何よりまた漁師としての仕事がある。
帰国しよう。」


そう考えてからわずか4週間後

ローサは一度、単身でスペインに一時帰国する



まず相談に向かった先は、仲の良かった友人たち

「いつでも帰ってくるといいわ、あなたは親友なんだから」

と、温かい言葉をたくさん受け、母国に帰ってこようと心に決めたまま
実家に帰ると、そこに待っていたのは自分の両親からの突き放した言葉


ローサの父「お前の愛する夫は、ここスペインではなく
東の国ハポン(日本の呼ばれ方だそうです)で眠っている。
一生を添い遂げると誓った夫婦なのに、なぜお前はスペインに帰ってくるんだ。
夫が日本で眠っているなら、お前は子供たちと日本で暮らしなさい。
それこそがタダシを愛した、私たちの愛する娘ローサであり
タダシが愛した、可愛い孫たちの母親ローサなのだから」


このとき、ローサは自分のおろかさに気づき、涙した


タダシを愛しているからこそ、渡った異国なのに

なぜタダシのそばで一生を生きようと考えなかったのか

自分のことばかり考えて、タダシのことは全く考えてなかったのだ


ローサ「お父さん、お母さん、ごめんなさい。私が間違っていたわ。
タダシに付いていくと決めたのは私、タダシと暮らして幸せだったのも私。
だから、タダシがいない今も、私はタダシの傍で暮らせることが幸せなのね。」


ローサの母「私がお父さんのところに嫁いで来たのは、あなたがタダシの元へ行ったときと
同じ年よ。お父さんは決して裕福ではないけれど、あなたという素晴らしい娘と3人
温かい家庭を築いてくれたわ。そして今、あなたが嫁いだ後は
私がお父さんを独占できるのよ。ローサ、タダシはあなたといられるだけで幸せと言ったわ。
そしてあなたもそんなタダシを愛しているのを私は知っているわ。
いつまでもここにいてはいけない、タダシの眠るところへ帰りなさい。」


それから60年、今もローサ茨城のある町で暮らしています


長女セレナは、ある施設の施設長として働き

次女エレナは、農業の研究者として

今も元気に、タダシとローサの娘として
毎日を必死に生きています


掲載元
http://exo.jp/keypersonq/2008/06/bookmark_33.html

このウラログへのコメント

  • Kan♪ 2014年07月01日 00:26

    人と人との繋がり、再認識させて頂きました!
    有り難うございます♪

  • koriki50 2014年07月01日 00:28

    素敵な話だね。頑張って、明るく生きる人が見える。
    そんな母を持つ娘さんならきっと元気に前向きに

  • goodlooking 2014年07月01日 11:42

    心から応援したい気持ちです

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