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官能小説:『幼馴染』  第1話

2011年04月05日 23:56

久しぶりに小説です。
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  ●繰り返し思い出して…


  瞳は、息を荒げながら、閉じていたまぶたをゆっくりとあける。
  視界がぼんやりしている。
  (ああ……またやっちゃった)
  瞳は一人ベッドに横たわったまま、
  チクチク刺さるような罪悪感にさいなまれていた。

  太ももをつたい、今更のように
  トロリとした生温かい液体が流れ出す。
  慌てて瞳はティッシュでそれをぬぐい、
  大きなため息をついた。

  利貴への愛しさがこみあげると、
  反射的に下半身に意識が集中してしまう。
  彼の骨ばった長い指や、
  引きしまった浅黒い胸板を思い出すだけで、
  自然と秘部に隠れた小さな蕾はふくらみを増し、
  熱く突起するような感覚を憶えるのだ。

  そうなるともう瞳の右手は勝手に動きだしてしまう。
  利貴の強引な愛撫や湿った舌の感覚を思い出し、
  指先の動きで再現する。
  左手は、慣れた手つきで豊満な胸を
  激しく揉みしだくのが常であった。
  時おり利貴の真似をして、
  人差し指乳首をつまんだり転がしたりしながら。

  利貴とのセックスは、何度再生しても飽きることはない。
  想像の中の利貴は、本物以上に優しく情熱的で、
  そして瞳を誰よりも愛してくれたから。

  ●虚しさが襲う

  しかし、昇りつめた後の倦怠感は凍りつくほど虚しい。
  (今度、本物の利貴に抱かれるのはいつ?もしかしたら二度と……)
  不吉な予感が頭をよぎった瞬間、
  瞳は頭を激しくふって想像を打ち消した。
  そして、勢いよくベッドから降りシャワーに向かう。

  ザーザーと流れるしぶきを受けながら、
  ずぶ濡れの瞳は涙を流していた。
 
  つき合い始めて半年経った頃、利貴は博多に転勤になった。東京九州という距離に阻まれすでに5年。
  「数年後には東京に戻るから、その時は結婚しよう。待っててくれ」
  利貴のその一言を頼りに、瞳はひたすら待ち続けた。
 
  もしあの一件さえなければ、
  瞳はまだ彼を信じて待っていただろう。
しかし今の瞳には「待つ」ことが無意味に思えて仕方がない。

  ●逃れられない真実
   
  ちょうど一週間前のことだ。
  夜も更けた頃、いつものように
  利貴の携帯電話に電話をしたが電源がオフになっていた。
  わけもなく不安になり、
  普段は絶対にかけない固定電話に電話をかけてみた。

  「もしもし?」

  見知らぬ女の声。
  瞳の背中に戦慄が走る。
  瞳が黙ったままでいると、

 「誰から?」

  という、聞きなれた男の声がかすかに聞こえる。
  瞳はそのまま電話を切った。

  あれから瞳は利貴に一度も連絡をしていない。
  そして瞳の僅かな期待を裏切り
  利貴からも音沙汰はなかった。

瞳はシャワーのしぶきの中にうずくまり、声をあげて泣いた。

------------------------続く----------------------------

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