よこ○と夜を歩く

しかし、夜の道を歩くのは真冬でなければ楽しいのだが･･･

丁度この時は“ウォークマン”が故障して、買い替えの間だった･･･

こんな時はお得意の『ビートルズを１枚目の１曲目から順番に鼻歌を歌う』だな･･･

丁度、４枚目の“BEATLES FOR SALE”に差し掛かった頃、


『何か変だな？』

と気がついた･･･


よこ○に、

『おい、小田急ってこんなに寂しいのか？　お前、「町田は都会」っていつも言ってるじゃん！』

と言うと･･･

『町田は都会だけど、駅の間は田舎なんだよ！』


不審に思い、線路の上に行く･･･

『あのさ、複々線じゃないのか？　線路が少なくない？？』


よこ○も黙り込む･･･

遠くに見える駅に向かい線路を走る･･･


微かに潮の香りが･･･


駅名を見てビックリ！


『鵠沼海岸』


途端に脱力･･･



『よこ○～、何が“庭”だよ･･･　埼玉県人のおいらだってわかるよ･･･　これ、江ノ島に向かっているじゃん！！』


よこ○も絶句している･･･


『おいらはホームで寝るよ･･･　お前は海で日焼けでもしてくれ･･･』


ホームの隅で蹲るおいらの前をよこ○が、『寒いよ～　歩こうぜ～』とウロウロウロウロ･･･


『江ノ島に朝までやっているラーメン屋があるからそこに行こうよ～　奢るからさ～　ビールもつけるよ～』


確かに、鵠沼海岸まで来れば江ノ島は近い･･･


『ラーメンと餃子、ビール２本だな！』

『わかったよ･･･』




『ってか、お前、あといくら持ってるの？』

『３万･･･』

『そんなら藤沢からタクシーで帰れたじゃん！』

『いや、これは定期買わなくっちゃいけないし･･･』



ごちゃごちゃと言い訳をするよこ○を尻目にまたまた逆方向、江ノ島方面に歩いていく･･･


つづく