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福祉とは 絶壁の上の花園

2017年08月05日 05:27

福祉とは 絶壁の上の花園

福祉を必要としない
人には《福祉》って
他人事かも知れない
そして福祉は福祉を
必要としている人に
中々届きにくい構造
なのかも知れない!










古いフレサンは既にご存知だが、私は元ホームレスだった。


似顔絵を描いていた私は腱鞘炎で筆を折り、紆余曲折の末、リーマンショックで職と住まいを失なった。


路上生活スタート鮫洲公園からだった。


事実上天涯孤独だった私は、誰に頼るアテもなく、漫画喫茶にあった『TOKYOチャレンジネット』という、1枚のチラシだけが頼りだった。


このチラシは、漫画喫茶のみならず、都内各行政の福祉事務所には必ず置いてある。



《働きたい》だが、《家がない》。

そんな人の窓口とされる機関だ。



数日かけて、歩きで北上した私は、『TOKYOチャレンジネット』のある新宿歌舞伎町に辿り着いた。


『TOKYOチャレンジネット』は、歌舞伎町交番裏手のグリーンプラザという大型複合商業ビルの2フロアを使っている。


訪ねる前に、アポを取ろうと電話をした。だが、電話口で断られた。


「こちらは、(国から)貴方へお金を貸すシステムです。
家も仕事もなく、返せますか?」


つまり、“仕事はあるが家がない”なら、住居の初期費用は貸します、“家はあるが仕事がない”なら、職の斡旋はしましょう、とのこと。


チラシの謳い文句とは、違う!!


後で知るが、直接押しかけてきた
ホームレス
路上生活者には、タコ部屋を紹介していたそうだ。


『TOKYOチャレンジネット』は、相談実績、年間数千件を誇るが、当然、私の時のような門前払いも成績としてカウントされる。


何はともあれ『TOKYOチャレンジネット』に、行政へ行くことを勧められた私は、新宿区の福祉課を訪ねた。


福祉課の担当者は、最初は手ぶらだったが、『TOKYOチャレンジネット』に聞いて来た旨を告げると、苦虫を噛み潰したような顔をして、1枚の書類を取り出した。


それは、所謂《シェルター》の一覧で、ひとつ一つシェルターを指差しながら、「満杯」「満杯」と繰返した。


そして、ニヤケながら「ここでは、何もしてあげられない!」と断言した。


その後も誇らしげな笑顔で、ドコで寝たら危険で、ドコが安全だとか、路上生活問題点レクチャーされて、

「じゃ、気をつけて♪」

と、トビキリの笑顔で送り出された。



私は、あの笑顔は絶対に忘れない。















後で知るが、これを「水際作戦」と云うらしい。


この時、私は住所がなかったから厳しいが、例えば“生活保護”は、申請されたら役所は受理する義務がある。


だから、最初から生活保護の申請用紙を見せず、出さず、書かせないって戦法を取る。


住民が福祉の世話になることは、行政にとっては出費となり、その出費をどれだけ抑えるかが、この水際作戦であり、かつては、それができるのが、優れた職員とされた時代があったとされる。


新宿区の場合、区役所の福祉課の隣に『とまり木』って民間団体の窓口があり、路上生活の具体的な相談、食料配布等、全てをこちらが引き受けている。


これらの仕組みは、行政によって千差万別であり、例えば渋谷区は、路上生活者の追い出しには熱心だが、福祉課に来た路上生活者にも親身に相談に乗る。


が、何れにせよ、選択肢は限られているが、少しでもその隙間を埋めようと、様々な民間団体のボランティアの人たちが頑張っている。


私が出会ったのが、『ビッグイシュー』だった。


ホームレスの仕事をつくり自立を応援する」というコンセプトのイギリス生まれの雑誌。


月2回の発行。販売者は全員、ホームレス。所定の路上のみの販売となる。


仕入れ値はオープンで、1冊を売って幾ら販売者の収入になるのかは、表紙に明記されている。


インタビュー(表紙の人物)、特集記事がメインで、本家イギリスからの流用、日本独自の記事で構成されている。



欧米ボランティアの意識が高いのか、映画等の宣伝を兼ねるとは云え、

アンジェリーナ・ジョリー

ジョージクルーニー

ジョニー・ディップ

ディック・ブルーナ

ブラッド・ピット

マドンナ

レオナルド・ディカプリオ

・レディー・ガガ

―――等が、インタビュー登場の常連。



日本人で表紙&インタビューにの登場は

西原理恵子

坂本龍一

茂木健一郎

―――等が、複数回登場している。



とは云え、正直、薄い冊子だ。


読者の方も、路上生活の販売者の自立を応援する意識での購入だ。


実際、販売者となった私は、それがご縁で練馬区の福祉関係の方とは懇意にして頂いたが、私が彼らに体験を話すと、様々な救いの手があることを告げられた。


そもそも『ビッグイシュー』の面接も、「生活保護希望しますか?それとも販売者を希望しますか?」と、2択で最初に希望を聞かれた。


住所のない人間でも、専門家同行なら、生活保護は受けられるのである。





福祉の大きな問題点の1つがこれ。


様々な救済の道が実はあっても、そこに辿り着けない人があまりに多いのだ。


勿論、普通の暮らしをしていると、福祉の知識は勉強しないかぎり、知る由もない。


必要となった時に、必要な知識を知らないってのは、明るい道から急に暗がりに入ったようなもの。


況してや、世の中、善人ばかりって訳じゃない。


貧困ビジネスに代表される、弱者を喰い物にする輩が、余計な知識を、タップリ詰めこんだ、トビッキリの笑顔で待ち構えていてくれたりする。















本当の救済に繋がる人に出会えるか、どうかが、実は現実問題としてとても大事なポイントになってくるのだ。

このデジログへのコメント

  • ねこやまだ 2017年08月07日 16:53

    たどり着くまでが大変なんですね…

    他人の痛みがわかれば、教育のほとんどは出来上がる
    (受け売りですが)
    相手の立場になれれば、みんながもっと生き易くなりますよね
    福祉って、誰のため?

  • ウルトラ7 2017年08月07日 19:34

    > さくらな みきさん

    その疑問は常にありますね.

    哀しいです.

    仕組み自体は弱者のためでも
    仕組みを作って運用する人の
    政治的な思惑抜きって訳には
    中々いかないのが現実です.

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