木曜日のブックマーク

「Exit for Ekimaehiroba」 と外国人向けの看板がある。確かに道が分からなくなったインド人は「エキマエヒロバ」と尋ねてくれた方が、日本人としては分かりやすい。でも何か人を騙しているみたいで気持ち悪いなぁ。

「Exit for Ekimaehiroba」ブックマーク

私はそんなことを考えながら、江古田に降りる。髪を切らなきゃいけないのだ。髪を明るく染めなきゃいけないのだ。もうそれしか考えられない。
美味しそうなインド料理屋があったけどブックマークできなかった。
私は○○という名前の美容院でショートカットにしてもらった。髪は明るいブラウン。茶髪じゃなくて「明るいブラウン」。
「同じじゃん。」主人のパキラ…あきらさんは言う。
内緒だけど、店の外ではパキラさんと呼んでいる。「パソコンに強いあきらさん」だからだ。この日、私はパキラさんから、メモリークリーナーについて指南を受けた。

「パキラさん手彫りの犬の看板を作る」ブックマーク。

近くの書店で、1Q83が中古半額セット。良い掘り出し物があるかも。

「○○○書店」ブックマーク

電車に乗るとブックマークが増える。人間は苺の粒々のように、個性が少ないように見えるけど、よく見ていると、どの粒々…じゃなくて、…人間も個性があって面白い。一番好きな組み合わせは、母と子供２人くらいの粒々たちだ。
とてもブックマークしたくなる。

「おでこが広い赤ちゃんが、ベビーカーの中から私をギラギラと見つめてきた。お母さんは小学校低学年の子にローマ字の話をしてあげてた。お兄ちゃんも目がギラギラしていた。」ブックマーク

家に帰る途中考えた。私達、苺の粒々のような人間は、同じ電車に乗ってる。だから、いつ乗ってくるかは違うけど、進む速さは同じ筈だ。けれど、みんな同じ速さだとは感じていなくて、赤ちゃんにとっては遅すぎて、お爺ちゃんには速すぎるのかもしれない。だから、結局私達、苺の粒々族は、バラバラに電車を降りて、勝手な方向に歩きだし、勝手なことを言って、勝手なことをやって、勝手に死んでいくんだ。

「苺の粒々族は、好き勝手がお好き」ブックマーク

お医者さんは私達、苺の粒々族の1人、に言った。
「君は身体も心も、バラバラにできてしまった。だから、時々君の粒々の一貫性がなくなって、君という総体が消滅する。」
「だから、できるだけ多くの粒々を失わないようにするために」
「ブックマークをしなさい」

「苺の粒々族の私の粒々は非常に勝手気まま。ブックマークが必要」ブックマーク


「私や僕やオレや君やあなたや彼や彼女の」

ブックマークはずっと増え続ける。
ブックマークするから生きている。