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短編 遠幻郷 プロット

2012年06月27日 23:02

2011年3月10日、夜の残業が終わり
家に帰ってきた主人公は昼過ぎまで眠っていた。
10時ころに携帯電話に電話がかかってくる。
誰かわからない男の声で
お前は誰も救えはしないくの能なしの糞馬鹿男め!
お前なんて父親以下だ!と叱責される。
Aはイタズラかとおもってその電話を切って
眠ってしまう。

2011年3月11日津波に襲われた故郷
帰ってきたA(男性)。
恋人、友人、母親もみんな津波に流され
まだ遺体さえ見つかっていない。
唯一生き残ったのは、彼の父親のみ。
父親は小学校体育館で毛布にくるまりながら
終始下を向いていた。
痴呆症を患っている父親は男に車に載せられて
ここまできたという。
その男は誰だろうと思う主人公。
しかし、彼は自分が嫌いだった父親が一人生き残って
いたことに不満が残っていた。

主人公は海へ走り、海に向かって彼女の名前をよぶ。
そして友達の名前も。
もしあの時に戻れるならみんなを助けられるかもしれない。
そううなだれている、ふと視線をあげた海原の先に
街が見える。それは彼が育った街そのものだった。
蜃気楼?こんな春先の寒い時期に蜃気楼なんてあるわけないと
思ったのであるが。主人公は蜃気楼に向けて浜辺に打ち上げられていた
ボートに乗ってその蜃気楼の街へ向かう。

たどり着いた先は津波に流されたはずの自分が
生まれ育った街、しかも建物も人もそのままであった。
そのまま道路にでると、幼馴染で親友のBが彼を発見する。
Bは彼がゴールデンウィークまで帰らないと言っていたのでびっくり。
え、今いつだ?と聞くと3月10日だと言う。
嘘をつけ、そんなはずがない。と自分の携帯電話を見てみると
日付は津波がくるちょうど前日だった。

彼が実家に帰ると、ちょうど恋人である
Cちゃんがお父さんのところへやってきていた。
その姿をみるにつけAは大喜びする。
死んだかと思っていた、と発言するAに
Cは縁起でもないと言う。

夜、彼女とふたりきりの時間をつくった主人公は
彼女をなんとか街の外へ連れだそうと説得する。
しかし彼女は明日は保育所の仕事がある。
いきなり休むことはできない。
慌てる主人公にCは明日地震が起きて大津波がくると言う。
しかしCは信じようとしない、なぜなら街には10メートルを超える
防波堤があり、この五十年間一度も破られたことがないからである。
主人公の説得は彼女に不信がられてしまう。
なぜなら、主人公は19歳で街へ出てから休みの日を除いて
ふるさとに戻ってくることはないのだった。
しかし、彼女母親のことを心配してこの街に残ることを
選んだのだった。

その晩、母親と父親と食事をする主人公。
少し気まずい空気が漂っている。
母親は父親と主人公の気まずい空気をなんとか
中和しようと明るく振る舞う。
しかし、主人公は自分の彼女がこの街から離れられない
理由を父親のせいにしている。
主人公の父親は漁師彼女の父親と同じ船にのっていた。
しかし、シケに遭遇し彼女の父親だけ亡くなったのだ。
漁師を継がないといったけれども、その腹いせに本当は
彼女の父親をわざと殺したのではないのかと彼は思っている。
父親は勝手にすればイイと彼の話に聞く耳をもたない。

彼は今いる世界が津波がくる前の世界であると確信。
そして彼女を救うためにたちあがるのであった。

朝、仕事場に向かうために友人のBの車に迎えに来てもらう彼女
自分の彼女と結構楽しそうにしゃべっている姿を見て
Aはなんだか疎外感を感じてしまうのだった。
ちなみにBくんはAと違って地元で配達業をしている。
実はCちゃんがAくんと付き合うことに限界を感じていることを
話している。

主人公は家に戻った。
しかし、地震がやってくるまで時間がない。
どうしようか迷う主人公。
家では母親がパートに向かう準備をしている。
行っちゃ駄目だと言う主人公、しかし母親
父親と二人で話し合ってわだかまりをなんとかしないと
恋人のCちゃんも報われないと言う。
しかし、主人公は父親と話す勇気がない。
父親は相変わらず新聞に目を通して話す気配もない。

主人公は父親と話すこともなく
またひとり浜辺に行って元の世界に戻ろうと思う。
しかし、船もないし海原の先に見えていた自分の来た
であろう街の港さえ見えないのだった。

彼はとにかくなんとかしようと
街中に地震がくる津波がくると言いまわるが
誰も聞く耳をもたない。
防災訓練は常日頃からやっているから大丈夫
あの堤防を越えてくるはずがない
みんな彼の話にはきくみみを持たない。

運送会社で友人を説得するも彼さえ聞いてくれない。
そしておまけに彼に対して、Cちゃんを自分に譲れとまで言ってくる。
彼女がかわいそうで見ていられないとのことだった。
またまた主人公は友人が自分を騙してCちゃんを奪ったのだと勘違い
大げんかをしているうちについに地震が起こる。

続く

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