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短編 メリークリスマス

2014年01月06日 01:03

町の真ん中にクリスマスツリー
ナレーション
12月24日
彼らにとってその日は
日常の延長でしかなかった
忌々しい過去の続きでしかなかった。

司は橋の下で数人の学生服男の子に囲まれている
手には金属バットをちらつかせて
「司、今日はいくら持ってきたんだよ。え?」

港の倉庫
棍棒をもった雇い主が荷物を落とした
労働者を鞭でうつ。
「おい7640番!そいつは向こうへ持って行け」
「どうしたなにぼさっとしてる、貴様等みたいな
社会の屑はな仕事をもらえるだけでもいいと思え」

金持ちの家
グラスにワインが注がれる
食卓にはケーキとごちそうが並ぶ
テーブルには女の子
その対面にその母親そして彼女の隣に若い男
マキちゃん、この人が新しいお父さんよ。
ほらちゃんと挨拶して」
「…」男はマキの手を握って
耳元で「よろしくねマキちゃん」とささやく

老人ホーム
20代のヤンキー風のヘルパー
ハツのベットの傍らでたばこをすいながら
携帯電話でしゃべっている
「はーこっちはばばあの糞掃除してるーうん
金もらえるからしょうがねー」
「はは、大丈夫だよ耳なんて聞こえてねーし」

ナレーション
そんな彼らにサンタ
プレゼントを持ってきた…
それは、海の底から現れた

海のそこにある大きな黒い固まりの
目がカッと見開いた。

海から目覚めた大きな獣は海を割って
現れた…そして町の方へと歩みを始めた
そして大きく吠えた

倉庫
何人かの労働者
その雄叫びに手を止めた。

なんだなんだ…地震か?

雇い主たちは
彼らに様子を見てくると言って
出て行ってしまった。

ガチャン、と扉が閉められる

ある労働者の一人が携帯電話テレビ
その様子を見せる。
東京湾に突如現れた怪獣は、都心を目指して移動中です
市民のみなさんは一刻も早く脱出してください。」
「こっちへ向かっているのか」

早く扉を開けろ!
だめだ扉が開かない。
あいつら俺たちの事を
物としか見てないのか

どすん!どすん!という足音が
倉庫に近づく

伏せろー!

そのかけ声とともに倉庫の屋根を突き破って
大きな怪獣の足が現れる。

怪獣の足は倉庫の壁を破壊し、
怪獣都心へと向かっていく
労働者たちはその様子を見上げていた。

おい、あいつ等はどこに行ったんだ
探しに行こうぜ、まだ近くにいるはずだ!

橋の下で血を流して倒れる少年。
彼を叩きのめした生徒たちは
手に彼の財布を持っている
「ちぇ、なんだこれっぽっちかよ
これじゃあゲームも買えないよ。」
といって財布を道に投げ捨てる。

ねえ、こいつどうする
ヤっちゃえヤっちゃえ
金属バットを少年の一人が
振り上げた瞬間

なんだ、あれ…
こっちくるぞ、逃げろ、

少年たちは怪獣の姿を見て
逃げていった、金属バットを投げ出して。

少年はその目をみた
そして怪獣は通過していった。

少年は金属バットを手にして立ち上がった。


老人ホームではベットが移動できずに
館内で渋滞が起きていた。
ハツのところにいたヘルパー
他のヘルパーに言う
「おおい、じじいとばばあなんて置いていこうぜ」
「馬鹿、そんなことしたら家族がうるせーだろ」
「生きてたって死ぬまであいにこねーよ」

ヘルパーは逃げだそうとするがそこに
壁を突き破って怪獣の口が出現するヘルパー
食べてしまう
ヘルパー断末魔の叫びをあげる

その様子をハツは笑ってみている。
そして怪獣は目を合わせる。

マキは車に乗せられていた
ラジオから、政府が怪獣を倒すために
自衛隊戦闘機による攻撃を許可したと
いうニュースがながれる。

道は大渋滞である。
そこに怪獣が現れて、みんな車から出て
逃げ出していく。

マキの母親再婚相手は
彼女を引っ張って走っていく。
しかし、彼女はその手をふりほどき
怪獣の方へ走っていく。

「マキちゃーん」といって男が追いかけていく
近くの公園の茂みに逃げこむ。

男は追いかけながらつぶやいている
「くそっあの糞ガキめっ!どこいった」
彼はナイフを取り出す。

すると怪獣の足が男の頭上にドシンと被さる
カランとナイフ彼女の足下に転がる。

怪獣彼女をまたいでいった。それをマキは見ている。
しかし、つぶされた後から男のうめき声が

戦闘機が5機怪獣の周りを
取り囲み始める。
目標補足

波止場では
雇い主たちが労働者に追われて
コンテナに追いつめられる。

同じ頃、金属バットを持って
自分をいじめている少年たちをみつけた
少年たちは人のいなくなったコンビニ
商品を盗んでいた。
そこに司がやってくる

ハツは窓からその様子を見ている。
急に険しい顔になった。

マキの後ろでは血みどろになった
足下にナイフが落ちている。
母親の相手がゆっくりと立ち上がった。

撃て!
だだだだだ。
煙に包まれる怪獣の姿


その煙を見て
4人は絶望の気持ちに追いやられた。
雇い主は拳銃を取り出し労働者に向けて
脅し始めた。

司はコンビニの店先でいじめられっこに
見つかった、足がすくんで動かない。
「なんだよ、司、おまえバットなんか持って
まさか俺たちにかなうとでも思ってんの?」

ハツは涙を流している


マキは再婚相手の男がナイフを取り出して
自分に向かってきたのに気がついた
「このくそガキがああ、おまえがいなけりゃなぁ」

戦闘機怪獣の周りを旋回しながら様子を見ている。

煙の合間から瞳がギラリと見える
戦闘機無線で伝える
「生きている、まだ生きているぞ!」

すぅううううううううという音とともに
怪獣は深い呼吸をする
そして、次の瞬間口から熱光線を吐き出した。
それを見ていた4人は

内閣府は直撃を受けて
大破した。

いけーっ、俺たちにはちゃんとした名前があるんだ!
労働者たちは雇い主に飛びかかっていく。

司は手に持ったバットをきつく握りしめ
いじめっ子たちに向かっていった。

マキはナイフを手にとって
「おまえなんか父親じゃねー」
といいながら男に向かっていく。

ハツは大笑いしている
窓には怪獣の姿が映っている。

怪獣が町へ進行する

サンタは彼らに最高の
クリスマスプレゼントをくれた
それは彼らの怒りを代弁し彼らを鼓舞した
今やもう彼らは以前の彼らではない
日常は非日常となった

クリスマスツリーが倒れ去る
人々は逃げまどう

司は友人をバットで滅多殴りにして
笑っている

マキは
走って逃げ出す彼女もまた笑っている

セイジは雇い主の目の前で
腕を組み笑っている

ハツは病室の窓際でほくそ笑み

怪獣が一声ほえる
メリークリスマス

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