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I’ll miss you, Flaco

2024年02月27日 18:36

I’ll miss you, Flaco

皆さん、ニューヨーク動物園を抜け出した(のではなく誰かが檻を壊して放鳥した)梟の話、知ってます?


わしは発生時にネットで知り、興味を持ってフォローしていました。


その活劇のような楽しい話に突然の終止符が打たれました。わしは悲しみを堪えてこのログを書いています。




その梟は動物園で与えられたFlacoという名で親しまれ、人気者であったそうですが、檻から解放され自由の身になった際、動物園の職員はすぐに捕まえずに待機していたそうです。

これまでずっと飼育されていたFlacoは、自力で採餌する能力がないのですぐに弱るだろうから、そこを捕まえて保護しようという作戦。



ところが。




すべての学者研究者、観察者の予想など意に介さないように、Flacoニューヨークセントラルパークを根城として見事に野生化します。


あんな大都市に、と意外ですが、セントラルパークは大規模な公園で、かなりの数の野生動物が棲息し、独自の生態系を形成しています。Flacoにとり、十分な数が繁殖し、かつ捕食圧が低い餌の鼠を捕食するのはそれほど難しくなかったようです。



自由の身になり数週間経つと、十分な餌を食べ丸々と太ったFlaco写真がネットを賑わせました。わしは快哉を叫びましたよ。すごいぜ、Flaco!お前はヒーローや!と。


ネットではFlacoを専門に追いかけるアマチュア写真家の作品が継続的に供給され、わしはその活躍を日々楽しみにフォローしておりました。


恐らく、一時期は世界で最も注目されている野生動物だったでしょう。


そんなFlacoニューヨーカーアイドルとなりました。動物園を抜け出し(実際は誰かの悪意で外に出された訳ですが)、野生化して大都市で逞しく生きる姿が米国人の心を捉えたのでしょう。



そうしてFlacoが自由を謳歌し始めて2/2で一年が経ちました。Flacoはそんなことはどうでもいいように鼠を捕り、丸々と太り、逞しく生きていました。


そんなFlaco写真を眺めつつ、わしはいつか会いに行きたいなあ、と夢想したものです。(近日中にニューヨークを訪れる計画などありませんが!)





しかし、終わりは突然に訪れました。




先週金曜日、我が国が天皇誕生日を祝っている日の夜。


西89th Streetの路上で、Flaco死体で発見されました。


どうやら、建物に勢い良くぶつかったようです。



これまでも、Flacoの身に起こり得る不慮の事態については、当然ながら色々と予想されていました。そのうち三つのシナリオが最も脅威と考えられていたそうです。


第一は、殺鼠剤を食べた鼠を捕食した結果、その殺鼠剤の毒でやられてしまうシナリオ

第二は、捕食の為に地面に降りたところをクルマに轢かれるシナリオ


これらについてはFlacoは幸運にも回避し、元気に生活しておりました。


しかし、第三のシナリオがありました。


それは野生の鳥類がいつも晒されている、ごく普通に起こり得る鳥にとっての脅威です。


それは建物への衝突です。


特に、透明な窓ガラスへの衝突は都市部に住む、或いは通過する鳥にとり最大の脅威の一つです。現に、NY市では年に23万羽の野生の鳥がそうして命を落としているそうです。


路上に落ちているFlacoが発見されるとすぐに保護団体に知らせが行き、駆け付けた職員が蘇生を試みたそうですがその甲斐なく既に息耐えていたそうです。


わしが胸を打たれるのは、自由の身になったFlacoは夜に盛んに鳴いて縄張り宣言をし、繁殖相手を探していた、というエピソードです。


野生に放たれ、生をまっとうしようとしたその生き様にわしは心打たれます。



FlacoはEurasianeagle owl、和名ワシミミズクと呼ばれる梟でした。最大で翼長2メーターに達する大型の梟です。日本国内では北海道で少数が確認されている種類。



この種類は飼育下では平均40年生きるそうです。それが、野生の個体の平均寿命はその半分。


それを持って、檻を壊した悪意ある人を責め、そいつのせいでFlacoは早死にした、という論調があります。



でもね、わしは違うと思うんです。


大都市で友達がいない生活とはいえ、自力で捕食し、眠り、飛び、生を謳歌した一年は、飼育下の何年分の価値があったでしょう。


これは人間のおごりかも知れませんが、最後は本来の姿に近い生き方が出来て、Flacoに悔いはないと思うんですよ。


願わくは、もっと長生きして、何らかの方法で繁殖して子育てを体験して、ニューヨークの夜の空の支配者として長く君臨して欲しかった。



それでも、ニューヨークの多くの住人に空を見上げる習慣を付けさせ、野生動物への関心、愛情をもたらした功績は誰にも否定出来ません。



わしはこの英雄に心からの賛辞を贈ります。



さよなら、Flaco.


わしがそっちに行ったら、会えるかなあ。

このウラログへのコメント

  • ベソ 2024年02月27日 22:36

    わしらFlacoを檻から逃した犯罪者を擁護してる訳ではないのでその点は誤解なきよう。

  • ベソ 2024年02月27日 22:38

    檻の中で見せ物になり決まった時間に勝手に食事が出て来る生活の何が良いのか。


    いや、それは良いことが色々あるのは分かってる。ストレスで病気になれば治療だって受けられるしね。

  • ベソ 2024年02月27日 22:40

    飼育されてる動物は、最終的には世話をする人間、動物園なら飼育係がどれだけ親身に世話をするか、にかかってるんやろう。Flaco担当の飼育係がどんな人やったのか、今のところ情報はない。

  • ベソ 2024年02月27日 22:42

    この点はFlacoに関してはirrelevant. だって自分で逃げ出した訳やないんやから。

    檻から出した犯人は、Flacoを自由にしてやろうという気持ちがあったのか?

    これに関しても情報なはし。

  • 白の光 2024年02月28日 19:34

    檻から出して貰えて、自由になれて幸せだったと思います(*^^*)

  • ベソ 2024年02月28日 22:10

    > 白の光さん
    わしも全く同意見。それで早死にする結果になっても、本人は満足やったと思うね。


    願わくは、わしもそんな生き方がしたいよ。

  • mina.n 2024年03月02日 07:26

    人間も同じように生きて、死んでいけたらいい。
    その人らしく生きてその人らしく空へ帰る。

    flacoは幸せだったと思うわ。

  • ベソ 2024年03月02日 20:33

    > mina.nさん
    同感やわ。檻の中の暮らしは安全やけど他のすべてを犠牲にしてるもんね。一年でも本来に近い姿で生きられてFlacoは幸せやったとわしも思う。

    合掌。

  • まゆ 2024年03月24日 09:56

    ベソさんー。゚(゚´Д`゚)゚。

    とっても深いお話ですね(ノ_<)

    すごく、色々考えさせられます。

    残念でしたが、んー良かったのか…
    できれば繁殖して欲しかった。゚(゚´Д`゚)゚。

  • ベソ 2024年03月24日 11:10

    > まゆさん
    読んでくれてありがとう。多分、日本では報道されてない話。飼育下から解き放たれ見事に自活したこんな個体がいたという事実はもっと知られて良いと思うし、知って欲しい。

  • ベソ 2024年03月24日 11:13

    > まゆさん
    わしは動物園の存在意義に疑問は持ってないけど、こうした事例を今後のあり方を考える際の参考すべきと思うね。

    わしは今でもFlacoの事を良く考える。わしは飼育下にある訳やないんやけどね。

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