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★吉原(24)

2011年06月06日 00:05

★吉原(24)

『付き馬(つきうま)』


遊郭従業員詐欺に遭う話。客に、まんまと出し抜かれる。もともと、薬屋で朝鮮人参をだまし取るという内容だったものが、よりスリルを求めたのかこのような内容に変化した・・とか。若い衆を引っ掛ける男の弁舌が凄い!。あらかじめ「あいつ(若い衆)は兄貴が死んで混乱しているから、変なことを言いかねない」と吹き込まれていた早桶屋の主が、若い衆と頓珍漢な会話を繰り広げるあたりは絶品。


”ひやかし”の客が見世を覗いているので、”ぎゅう”が一生懸命勧めるが、金が無いのでと断る。客はこれから集金したいが、まだ貸し金先の見世が開いたばかりなので、失礼になるので行けない。だから朝勘(朝、お金をはらう。基本は前勘定)なら上がっても良いというので、上げてしまう。

この夜は遠慮しないで、台の物を食べたり呑んだり、芸者を上げてドンチャン派手に遊ぶ。ツケで心付けまで派手に振る舞って遊んだ。


朝、47円80銭の請求。安いとおだてて、請求の手紙を書きたいが”印鑑”を忘れたので、じかに私が行くので付いて来てくれないかと、若い衆の”馬”を連れて見世の外に出る。

仲之町の茶屋に集金に行きたいが、朝一番に集金では失礼になるので、時間潰しに少し新鮮な空気を吸いにと、大門をくぐって外の街に出てしまう。湯屋に入って朝湯を浴びて、腹ごしらえにと食事と一杯をやって、若い衆のなけなしの金で、全部勘定を済ませ、浅草寺境内へ。花やしきに出て、お堂の前に出る。鳩の餌を売るおばあさんの話をして、仲見世のオモチャ屋、紅梅焼き、人形焼きも見て、雷門に出た。

「電車(都電路面電車)に乗ってどっか行こうか」
「仲から出るのは御法度だから、仲之町の茶屋に集金に戻りましょう」
「戻るのも何だから、田原町のおじさんの所でどうだ。ただ、早桶屋だけど良いかぃ」
「はかいき(墓息=はかがいく)がするから、イイですョ」
「そうかぃ、世話になったから、君に帯も上げよう」

”馬”を向こうに待たせて、早桶屋に入り。

「おじさん!お願いがあるのですが」
小さい声で・・「あすこに立ってる男の兄貴が夕べ死んで、大男の上腫れの病のため普通の早桶では入らず、”頭抜け大一番小判型”を何処でも作ってくれず、困っている」
大きな声で・・「こしらえて下さい」
「良いですよ」
また大きな声で・・「作ってくれますか、ありがとうございます」
小さい声で・・「気が動転して、変なことを言いますが、お気に成されないように」
”馬”を呼んで・・「おじさんが作ってくれるから、安心してここで待つように」
・・・と言い残してずらかってしまう。

「まー、一服付けなさい」
「はい」
「驚いただろう」
「いえ、それより朝からこの様な事で無理を言って、スイマセン」
「こちとら、商売だから」
「?・う!粋なことを」
「長い事だったのかぃ」
「いえ、一晩だったのです」
「急に来たのか」
「不意にいらっしゃった」
「『いらっしゃった』、とはおかしいな。それでも、驚かないのかぃ」
「別に・・」
「えらいな~」 
通夜はどうだった」
「?、ご商売柄(粋な言い方をする人ダ)、それは大変で、芸者も入って」
「それもいいだろう、仏さんも喜んだだろう」
「そうです!”カッポレ”を踊っていました」
「?、仏さんが?」。 
「ところで、何か付ける物は?」
「帯がいただけると・・」
「ハイ、傘は?」
「傘のことは聞いていません」 
「間もなく出来るが、どうやって持っていくかぃ」
「財布に入れて」
「?(早桶を?)」
「出来たそうだよ」
「どんなんだって構いません。ん?(@_@) どちらさんがお使いですか?」
「お前さんのだよ」
「ご冗談を」
「冗談ではないよ。お前さんの兄貴が死んだので、これを作った」
兄貴は居ません」
「さっき来たのが言っていたよ」
「先ほどの方はご親類でしょ」
「いいや」
「え~!わ~、/(*_*)> だって!貴方は『おじさん』と言っていたら『あいよ、あいよ』と答えていたではありませんか」
「『おじさん』と言っていたら返事をするが、『おばさん』と言えば怒るよ」
「さ~、(+_+;) 大変なことになっちゃた」
「どうした」
「私は仲の”馬”で、客に逃げられちゃった」。 
「お前さんも気の毒だが家も弱るんだよ。この早桶は別の所で使えないので、手間は負けるから木口代だけ置いてけよ」
「それは出来ませんよ。早桶担いで大門くぐれませんょ。縁起でもない」
縁起でもねぇ! とんでもねぇ、この野郎に早桶担がせろ!」
「よってたかって、何するんですよ」
「金を置いてとっとと持ってけ」
「お金はもうありませんょ」
「ない!奴、仲まで馬に行け」




吉原遊郭へは徒歩で向うのが一般的だったが町のはずれにあるため、船、駕篭、まれに馬に乗ってゆく人もいた。持ち金以上に遊んでしまった場合、馬子が掛け取りに行くことになるのだが、持ちなれない大金を持ったことでそれを盗んでしまう事件が続出。廓の従業員がそれを代行するようになる。その課程で起こる人間くささは笑いとともに共感を誘う。

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