初体験-そして再会の成り行き-完結編

思えば初めての頃は互いに未経験で、その中から必然的にある程度色々形を買え交じり合っていたが、やがて別れ互いに別々な相手と結婚し子供をもうけ、平凡な家庭生活を送っていた。別れてから二十余年、私の母の死によって焼けぼっくりに火が付き道ならぬ事、倫理に反する事と互いに思っていたにも関わらず再燃してしまった。
そして私が脱サラし起業するまでの二年余り、月に1～2回の頻度で逢っていた。
当初感じていた相手のパートナーに対する罪悪感、私の連れ合いに対する裏切り感も回数と共に薄らいでいってしまった事も事実である。
彼女を知るまでは女性と手を繋いだ事も(フォークダンスは別として)なく、好意を感ずる女性がそばに居ても何も言えず、ただ思い続けるだけしか出来なかった私を目覚めさせてくれたのは彼女だった。
そして逢ってから別れる時に何時も「今日は有難う」と言う彼女。「そんな事はないよ、僕の方こそ」と言って彼女を見送る。
その後彼女は5,60キロもある自宅へ一人で車を運転し帰って行く。
私は心配で必ず翌日電話を入れ「大丈夫だった?」と尋ねる。
「大丈夫よ、何もなかったわよ」と答えてから「Mちゃん昨日は有難う」と必ず言ってくる。


有難うＣちゃん。
あんなに楽しい良い思い出は初めてだし、これからも無いだろうね。