嵐の夜に

九州北部は昨夜半から未明にかけて
大変な雨、風、そして雷でした。
生きた心地もしなかった、という方もおられるでしょう。


あれはまだ私が20代前半、
社会人になりかけの頃だったと思います。
ある嵐の夜に一本の電話がかかってきました。

学生時代に付き合っていたモトカノ。
年下の彼女はまだ学生で、
母校の近くに一人で住んでいました。

当時はまだ学生マンションのような洒落たものはなく
彼女が住んでいたのも普通のアパートだったと思います。
鳴り響く風雨の音に心細くなっていたのかもしれません。

「いまから来てくれない？」

100キロの道をこんな夜に？そう思いましたが
次の一言で私の心は決まりました。

「来てくれたら、抱かれてあげてもいい」

もちろん断りました。
素直に「寂しい」と言ってくれたら
もしかしたら…と今になって思います。