小さい　自分

私は　とても　目立たない　小学生だった
勉強もできず
色の黒い　サセッポッチの　女の子だった

給食は　いつも　食べれず　残された

家は　貧しく
お下がりの　可愛い洋服など　着せられると
かえって　恥ずかしく　落ち着かなかったものだ

父は　単身赴任で　家にはいず
母の　帰りは　遅く　
大概　私は
道路に出て　車のライトの　
通り過ぎる　光る線を　
ピョンピョン　と　飛びはねて
母を　待っていた

夕方に　なれば
隣の　おばちゃんが
「さーちゃん　腹へったべ」と
味噌おにぎり　を　作ってくれる
そこの　３歳年上の　米子ちゃんが
私は　大好きだった

クラスに　上野さん　という
可愛くて　勉強もできる　女の子がいた
彼女の　家に　遊びに行くと
お母さんが
シュークリームと　ジュースを　出してくれた
その日から
私は　上野さんが
誘いに来ても　姿を隠した
彼女は　とても　性格のよい子だった
全てが　自分とは違って見え　
木の陰や　大きな石の後ろに　隠れて
じっと　していたものだ

ソバカスだらけの
陰気な　子　だった


今　逢えるなら
あの頃の　自分を　抱きしめて　あげたい
よし　よし　と　頭を撫でて
私は　幼い私を　抱きしめて　あげたい