花占い

７月×日

宝くじを買った。
その窓口は初めてだった。
窓口の女性は、俺の宝くじを丁寧に重ねた。
そして、女性の目の前、カウンターの内にある、身の丈２０ｃｍ位の大黒様の頭に
すりすりとこすりつけたのだ。
　
おお！　おまじないか！　いいじゃん！　

それだけじゃあない。
さらに、俺の宝くじを丁寧に両手で持ち、・・・親指が揃って俺の方を向いていた・・・、
顔の前に差し出し、持ち上げて、頭を深々と下げたのだ。

おおー！　俺の宝くじに、当たりますように！って、祈ってくれている！

大黒様の頭にすりすり！
両手に持って深々と頭を下げる！

なんて、気持ちのいい宝くじの販売員なんだ！
所ジョージよりも、小泉今日子よりも、ずっといい！

俺は、「ありがとうございます！」とお礼を言って、その場を後にした。

こんなに大切にしてもらえるなんて！
おおおおおー、もしかしたら、もしかしたら・・・・
当たるかもしれない！！！

当たったら、東京に家を買って、
今のマンションは気にいっているから、角部屋に借り換えて俺の仕事場として、
・・・なんだか、夢が見えてきたぞ！

と、その宝くじ売り場のスタッフは、わたくしに色々と夢を見させてくれました。

そして、また俺は宝くじを買いに行った。
でも、あの時の販売員はもういなかった。
翌日も、その翌日も・・・

人の夢と書いて儚い・・・



8月3日

駅前のベンチで女の子が花占いをしてた。
花壇に咲いた花を摘んでは、一枚一枚花びらを抜いている。

花は、痛くて悲しいだろうな・・・

　アフリカの奥地を探検していた俺は、人食い首狩り族につかまって
　首をはねられてしまう。
　俺の首を前にして、髪の毛をむしり取りながら占うのは、
　美味い、まずい、美味い、まずい・・・
　ああ、いやだいやだ。
　
花は、その花びらを人差し指でそっと押す。、
一枚一枚を、そっと人差し指で撫でるように押す。
そして口にするのは、
「会いたい、会える、きっと会える・・・会いたい、会える、きっと会える・・・」

そしてその花を一輪指しにさしてパソコンのそばに置き、

朝昼晩、「会いたい、会える、きっと会える・・・」
就寝前にも、「会いたい、会える、きっと会える・・・」
朝起きて、「会いたい、会える、きっと会える・・・」

そうやって、一週間から二週間・・・。
花が朽ちるまで続ける。
　
花占いよりは効く、花のおまじない。