あっ、虎も、猫なんだ！

私が子供の頃、週刊少年ジャンプで『ぼくの動物園日記』の連載が始まった。

カバ園長の愛称で親しまれた、東部動物公園の初代園長の西山さん。彼は当時、まだ上野動物園におり、上野動物園の広告塔を勤めながらいくつもの著作を著す、今でいう文化人であり、何よりも底抜けの動物バカの人であった。

西山としお半生記、と銘打たれたこの漫画の中で、西山さんは糞にまみれながら、時に野性と直面しながら、ない知恵を絞っては発見をし、言葉を話さない動物たちに少しでも近づこうと、七転八倒の奮闘を続ける毎日だ。

私は毎週、夢中で読んでいた。

ある土曜日の午後、ラジオを聞いていると西山さんがゲストで登場！

生出演！ いま行けば、会える！

私は一目散に、上野動物園へと向かった。果たして、西山さんは虎の檻の裏手でインタビューの真最中。

間に合った！

収録の合間、西山さんは中学生の私にもキチンと応じてくれた。

話しながら、西山さんが虎の檻に手を触れると、なんと虎が駆け寄って来て、さも嬉しそうに猫なで声をあげる。

あっ、虎も、猫なんだ！


西山さんは、子供の頃の私の中の、とても大きな憧れだった。