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Game Over

2014年08月02日 10:56

The game is over. Leonis dead.


と、泣きじゃくるマチルダを叱るように、宥めるように諭すトニー爺さん。


これが名画「レオン」の、エンディングにつながるシーンです。


わしは、このシーンを思い出しました。



6/29の裏ログで、わしは「人殺し妻を返せ」というタイトルの一編を記しました。

通勤途上で驚くべき立て看板に遭遇し、余りに胸を打たれる内容であったことから、それについて記したものです。

フレンドさんからは沢山の反響をいただきました。

以下、全文を転載します。


(引用、6/29の拙裏ログ人殺し妻を返せ」より)

以下、神戸市中央市民病院そばの歩道に現実に設けられてた立て看板の記載内容。


(引用)

神戸市中央市民病院脳外科XX XX(医師の実名)初診写真見せ白いクリップ2本で止める手術と云っていながらに対し死ぬ事は、999絶体ない(原文ママ)と迄云われ手術首の手術と云っていながら、頭切断4l出血脳まで取りし殺す

解らんのを云い事に手術は無事に成功しました、平気で云う恐ろしい病院4lもの輸血していながら輸血の事一切説明ない

(以下、糾弾者の実名、住所を記載)

(引用終わり)


わしね、これを最初に見た時、衝撃を受けました。

朝の出勤途中、看板を設置している爺さんを見たんです。

余りにショッキング主張に呆然としました。


その後、色々考えましたよ。

その爺さんと奥さんの関係とか、その他の家族のこととか、 それよりもまず、本当に何があったのか、とか…


第三者の純粋な憶測としては、ここに記されていること、それに近いことは本当に起こったのでしょう。

それに対し、病院側は何ら、誠意ある対応を取らなかった。

そして怒り心頭に達した爺さんが遂に大衆に訴える作戦に出た、ということなんやと推測します。



ここからはわしの更なる憶測です。


爺さんに取って、奥さん伴侶以上の人やったんでしょう。

毎日を仲睦まじく過ごしてはったかは分かりません。

しかし、長年連れ添い、互いの存在が互いに取り不可分のものになっていたんでしょうね。

そう、正に共白髪growold with you, 毎日顔を見ないと過ごせない、というより互いの顔を見ない日はあり得ない、という関係…


その奥さんが、重い病気になった。当然、診察を受けて治療の相談をします。

病状は想像以上に重く、病院に命を預ける手術になった…

病院側に取っても、そんなことは百も承知だったでしょう。

しかし、病院側に取っては、これは日常的に繰り返される、大量の手術でしかなかったんでしょうな。


そこで、致命的な医療ミスが起こり、患者さんは亡くなってしまった。

こうした場合、病院側にミスを認めるという選択は難しいんでしょうね。

当然、誰かが責任を取らねばいけない、という展開になる。

明日は我が身、という立場の先生方は、出来ればことを荒立てず、有耶無耶に済ませてしまいたかった。

そのシナリオで、爺さんに虚偽の説明をして丸め込もうとした。


ところが、この爺さんは納得するどころか、火のように怒り、大衆を巻き込んで病院側の責任を追求する、という予想外の反撃に出た…


恐らく、それが当たらずとも遠からず、という概要やと思います。

ここまで捨て身の反撃を試みているところを見ると、恐らく他の家族はいないのではないか、と思います。


その後の事態の展開についての情報は有りません。

ニュースになることもなく、立て看板は病院近くで2度見ましたが、それ切りです。


病院側は、補償費やら慰謝料やらをオファーし、それでも爺さんが納得しなければ多少脅しも交えたりして交渉を続けているものと思われます。


わしは個人的に、爺さんが納得出来る幕引きが訪れることを祈るばかりです。




…で、わしが考えたこと。

自分に同じことが起こったとして、わしはここまで女房の為に闘えるやろか? という疑問。


不慮の医療事故女房を奪われた。

それは悲しむでしょう。子供の年齢にも依りますが、子供が母親を必要とする年齢ならそれは切実です。


しかし、この爺さんのようにここまで捨て身で、全身全霊を賭して女房の死の真相解明、病院側の謝罪等を求めて闘えるのか。







わしにはズシリと重い立て看板でした。




爺さんの闘いが勝利に終わらんことを。



そして、こうした医療ミスで嘆く家族が、これ以上増えないように…

(引用終わり)


そしてね、これを掲載してからつらつらと考えていて、余計なお世話と知りながらも、孤軍奮闘する爺さんの為に何か出来ることはないか、と思案した末にメディアの力を借りる、というまあ当たり前の考えに至りました。

そしてね、神戸新聞投稿したんです。社会部宛てに。



その返答が、先週届きました。以下、引用します。


(引用)
いつもご愛読ありがとうございます。

神戸新聞社編集局文化生活部の医療担当デスク、XXと申します。
先日、いただいた情報提供についてのご連絡です。
大変遅くなり、申し訳ございません。

取材した結果、立て看板の件は既に法的に決着済みです。
男性が病院側を訴えましたが、一審、二審とも棄却されており、男性側の敗訴が確定しております。
ただ、男性はその判決に納得されず、ああいう形で通行人にアピールされておられるようです。

法的に医療ミスはなかったと判断されている以上、弊社で記事として取り上げるのは難しいと考えております。
ご理解いただければ幸いです。

(引用終わり)



そう、Game over.  二審で敗訴、となるともう打つ手はないでしょう。二度の裁判にかかった費用を思えば、最高裁まで持ち込むことは難しい。無理をして上告しても勝てる見込みはありません。

そして相手は巨大な財源を持つ大病院。所詮、大人と子供の勝負です。敵う訳がない。



と分りつつも、何ともやるせない。割り切れない。すっきりしない。切ない…



我が国には判官贔屓という美しい価値観があり、わしはそうした価値観に基づきそう感じているのかも知れません。


でも、それだけでは無いように思います。



長年連れ添った奥様を病院側にむげに殺された、その仇を討ちたい、という思いに、共感している部分。勿論あります。


そしてそれ以上に、人生の落日、それも半分以上日が沈んで差しているのは赤く歪んだ太陽の上端だけ、という時期になって尚、こうして現実を否定し、愛する者、愛した者の為に闘い続ける、という爺さんの姿勢に感動、賛同している気がします。



わしは、この爺さんに男を見ている。そう思います。




今度見かけたら、話しかけてみようかなあ… と考えるわし。



向こうからすれば、通りすがりの通行人に同情されることなど、むしろ失礼に思うでしょうか…





以下、わしが神戸新聞のXX氏に書いた返答です。


(引用)


神戸新聞社編集局文化生活部 医療担当デスク XX様
丁寧に返信を有難うございました。情報をどうも有難うございました。

私のメールに基づき取材、調査してくださったんですね。どうも有り難うございました。


ということは、それまではこの事件は御紙の耳には入っていなかった、ということでしょうか。

時既に遅し、ですね。二審の審議中に御紙が記事にしてくださっていれば、結果は違っていたかも知れませんね…

既に敗訴が確定しているなら、これ以上のこうした活動は病院側に名誉棄損で訴える根拠を提供していることにもなりますね。男性はそんなことは百も承知で、或いはそうした展開を望んで、こんなことをしているのかも知れませんね。これはこの男性には不慮の事故で亡くなった奥様への弔い合戦なのでしょう。退く理由はない、失うものはない…そうしたお気持ちなのかと思われます。何れにせよ、切ない話です。


敗訴という形で決着が着いているこの一件、メディアとして取り上げる理由がないことは当然です。また医療先進都市を目指す神戸市にとり、こうした件が余り表沙汰になって欲しくないのも然りです。


とは理解しつつも、何か割り切れない、すっきりした気持ちが残ります。こうした同情など、かの男性は望んでいないでしょうが…



調査取材とご連絡ありがとうございました。今後も御紙の益々のご発展をお祈りします。


署名、引用終わり)

このデジログへのコメント

  • ゆか1 2014年08月03日 09:46

    兄さん、よくやった。


    正しい事に対し蓋をして隠す日本の風習には
    反吐がでる。

  • ベソ 2014年08月03日 12:00

    > 及川栞さん
    東京女子医大の不正麻酔事件? あれも報道されなければ闇に葬られとった事件やね。

    どの業界にもあるに違いないけど、医療機関の場合は人命に直結するだけに深刻やね…

  • ベソ 2014年08月03日 12:04

    > ゆか1さん
    臭いものには蓋をしろ…という表現がある位やもんね。世界中どの社会にもあるに違いないけど、体面を重んじる我が国の場合は陰湿になる傾向があるね。

    我が国社会の悪しき側面の一つ…

  • ベソ 2014年08月03日 12:08

    > ゆか1さん
    褒めてもらって恐縮やけど、わしは爺さんの力にはなれんかったよ。わしの返信中にあるように、裁判が結審する前ならね。何か協力出来たかも知れんけどさ。

    爺さんの無念さ、察するに余りある。

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