いつかあなたを

あなたの夢を見ました。

とてもリアルな夢でした。

突然会ったあたしを、

驚きながら、怒らずに、
適切な距離感を保ったまま。

心配をしてくれました。

優しく声をかけて、

元気にしてるのか、

大丈夫なのかと。

相変わらずのあの部屋で、

相変わらずのあなたが、

相変わらずの笑顔で、

相変わらずそこにいる。


都合の良い夢でした。







あなたの隣に寝ながら、

あなたの夢を見ました。

あなたの友人だという男に襲われて、

大泣きするあたしを、

必死に部屋から出て行ってくれることを祈るあたしの目の前で、

冷たい目でこちらを見ながら、

男のために窓を開けていました。


恐怖のために何度も泣き叫び、

男はそれを楽しそうに見ていました。

泣き叫べば相手の思う壷だとわかりつつ、

怖くて、恐くて、たまらなく怖くて泣き叫ぶあたしを、

うるさいとでも言っているような冷たい目で、

あなたは、

ただあたしを、

見ているだけでした。







また、
あなたの夢を見るのでしょうか。

あなたの手を自ら放したあたしは、

あなたの夢に救われて、

あなたの事を思い出し、

あなたのために泣くのでしょうか。



また、
何度でもあなたの夢を見るのでしょう。

あなたの胸に自ら飛び込んだあたしは、

あなたの夢に傷付き、

あなたの横顔を見て、

あなたの言葉に不安を感じながら、

あなたに抱きしめられるのでしょう。




あなたも、
いつか「あなた」になるのでしょうか。

いつかあなたを「あなた」と呼ぶ日が来るのでしょうか。

いつか、

「あなた」を、

呼ばなくなる日が、

来てくれるのでしょうか。