誇大広告／表

近所のレンタルビデオショップが、最近になって全作品100円レンタルという豪気なセールを始めました。
普段は旧作のみのセールなのですが、今回はどういう訳か全作品です。
ちなみにアニメは90円と微妙に安くなっております。
経営が傾いているのでしょうか。新作まで100円で貸し出すとは大したものですね。
理由はともかくせっかくの機会なので、今まで観たことのない映画をちまちまとレンタルしています。
しかし、俺がレンタルするのは全て旧作なのですけどね。少し勿体ないかもしれません。

エンドウさんのチョイスは基本的にアクション、ホラー、そしてアレなビデオを各一本づつというものです。
感動系は嫌いではありませんが、ラブロマンスは観ていて痒くなってしまうので断じて観ません。
大胆かつ爽快なアクションでどきどき。
スプラッターかつグロテスクなホラーでどきどき。
ピンクかつスポーティーなアレでどきどき。
もう、どきどきしっぱなしですね。

エンドウさんは悪趣味にもおもしろいホラーに飢えています。
どちらかというと敬遠されがちなジャンルですが、良質なものになりますと恐怖の陰に人間の汚さや狡さなどを垣間見ることができて一見の価値があります。
単純に怖いもの見たさというものもあります。好奇心ですね。
繰り広げられる惨劇や恐怖の中に、先に書いたようなものや生への渇望が見られますと「おお」っと見入ってしまい、次を求めてしまうのです。

『テキサス・チェーンソー』なる作品をレンタルしてきました。
実際にテキサスで起こった殺人事件をベースに、30年ほど前に製作された『悪魔のいけにえ』をリメイクしたものであり、その後の『13日の金曜日』に代表されるスプラッター・ホラーのはしりになったようです。
内容をかいつまんで説明すると、気味の悪い田舎町に訪れた若者5人組がなぜかそこの住人の怒りに触れ、人皮を縫い合わせたマスクをつけた殺人鬼レザーフェイスにチェーンソー振り回されて追いかけられるというよくわからないものです。

「誰かと見ても怖い！」だとか、「本当の恐怖！」なんて銘打っているものだから、観たらビックリしすぎて心臓止まっちゃうのかしら・・・と期待していたのですが、蓋を開けたらなんとやら。
気味の悪い雰囲気や、いい意味での汚い描写は一見の価値がありますが、物語の半ばまで進まなければメインであるレザーフェイスが登場しないために中だるみします。
「途中で映画館から出たくなった！」
というコメントもありましたが、信じられません。
まあ、エンドウさんが多少ホラー慣れしている部分によるところがあると思いますが。

個人的に『テキサス・チェンーソー』のキャッチコピーは大げさだと思うのです。
しかし、それは俺の主観的な意見であるわけで、一般論というわけではありません。
他の人が観たら、失禁もやむを得ないほどの恐怖を感じるかもしれませんから。
誇大広告というのは意図された部分も大いにありますが、供給側のアピールと受容側の期待との間の温度差により生じるものなのです。

映画に限らず、誇大広告というものは氾濫しています。
ぱっと思いつく限りでは進学塾の宣伝なんかが該当しますね。
○○大学進学者多数だとか、成績大幅アップだとか様々です。
実際に掲げたような業績や実態はあるのでしょう。しかし、あったというだけです。過去形ですよ。
前例があるからといって全てがそれに倣うことができるという因果はありません。
広告は単なる情報であり、確約ではありませんね。
そこを履き違えると痛い目にあったりします。
まあ、「必ず志望校に合格させます！」と大風呂敷広げておいて「がんばったけどダメでした☆」という結果になったら詐欺ですけどね。

情報の真偽のほどを見定める目は養ったほうが世渡り上手になれるかと思います。
明らかに偽であっても、どこかしら逃げ道が用意されている場合がほとんどですからなおのことです。
例えば先に挙げました『テキサス・チェーンソー』にしても、俺が「そんなに怖くなかったですよ」と文句を言っても「いえ、他の方は大変怖がっていました」と返されてはそれ以上踏み込めません。

メディアリテラシー。
多大な情報が飛び交う現代社会において、損をしないためにも是非鍛えたい能力です。