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「顔」

2005年12月24日 23:51

熱いシャワーを浴びる。
その心地よさは、一日の疲れと汚れを抱え込んだ泡を流し落としていく。流れ行くものを見送った後、湯船に身をつからせた。
好みの温度に暖めなおしたお湯はとても気持ちがいい。まるで、洗いきれなかったものを溶かしていくように、私の身体を包む。
狭い湯船では存分に足を伸ばすことができないので、それが不満に思うところだ。もしも、さえぎるものがなく、身体を伸ばしてこの暖かさの中に身をゆだねることができたのなら、それはどんなに気持ちのいいことなのだろうか。
そんな空想は叶えられることはなく、私はただただ己の夢想にひねた笑みをこぼして、むせた。

実を言うと、私は数日前から体調を崩している。
下がらない微熱に若干のめまいを覚え、のどに小さな痛みをわずらっていた。二日ほど安静にしていたおかげで平熱を取り戻したのだが、のどの不調は今も治っていない。
痛みというより痒みというべきその違和感は、しきりに咳きを誘発する。
こみ上げる息の爆発は不快感を紛らわすものではあるが、決して根本的な解決にはならない。痒いところを掻きむしっても爽快感を得られるのはその一瞬だけで、後に残るのはいっそう増した痒みか、さらに悪化した痛みだけである。
しかし居心地の悪さというものは堪えきれるものではない。
何とか我慢しようとした私の顔は険しくゆがみ、苦悶の表情を浮かべる。それを無駄な行為だと知っている。湯気にむせるほどの過剰な反応を示しているのだ。浴室にいる限り、それを止めるのは難しいだろう。
そして、私の顔は再び苦しみを形作った。

顔。
顔といえば個人をあらわす、ひとつの、大きな要素であろう。
背格好や言葉など、その人を表すものはいくつもあるが、顔以上にわかりやすい特徴はない。
その理由を考えれば、心の動きという点にたどり着く。
顔というのは頭部の前面という肉体的な定義を持っているが、同時にいろいろな思いを表した様子という精神的な定義を兼ねている。
私たちは世界を彩る様々な物事に喜んだり悲しんだりする感情を備えている。それは身体の内側で生じるものであるが、外側へと伝達される。
小さなしぐさや身振り、そして顔の変容にて表現される心の動きを表情と呼ぶ。
心は何にも変えられない、その人だけが有するただひとつのものである。それゆえに表情を宿す顔という器官は、身体においてもっとも人を表す部分なのである。

有名人に似ているというのは尽きない話題である。
その対象は著名であればあるほど、高揚へと還元されるものだ。それは、有名人の名声に自分を重ねてしまうという勘違いから起こる、ある意味で勘違いである。
それは誰もが保有する憧れであるから、完膚なきまでに否定することはできない。
私は似ている有名人というのが思い当たらないので、少しばかり距離を置いてはいる。しかしもしも、かの者がいたのならば、嬉しさに似た感情を抱くことだろう。

名の知れた人の中には、私に似た顔を見つけることはできない。しかし、いわゆる一般人の中においては、似通った容姿を備えている人間がいるのだ。
彼は意外なことに、同じキャンパスという非常に身近な場所にいた。逆に言えば、近くにいたからこそその存在を知ることができたのだろう。
とは言っても、私が彼と面と向き合ったわけではない。
二人の友人がキャンパス内で私が歩いているのを見かけて話しかけたところ、じつは他人の空似で恥をかいた・・・という出来事から彼の存在を知ることとなった。
いわく、向こうが否定するまで間違いに気が付かなかったそうで、相当に似ているということをうかがわせる。
世の中には自分に似た人間が三人はいるというが、私は知らずの内に偶然を間近なものとしていたのだ。

兄弟の顔に共通点が見出せるというのは、親を同じくしているが故の必至である。しかし赤の他人と似ているというのは、改めて考えてみれば不思議なことである。
どこかでつながりがあるのだろうか・・・と思いをめぐらしてみても答えに至るはずがなく、確かめようのないそれは空中に拡散する。
惜しむべきは、私自身がかの者に出会っていないということだろう。
大学を卒業するまでに残された時間はあとわずかで、それこそ駆け抜けるほどである。
その少ない大学生活の中で彼と巡り合うことができれば、私は更なる偶然を手に入れたということになるだろう。
それは小さな期待を込めた楽しみである。

・・・ああ、普段と違う文体というのは疲れますね。
非常に長い前振りの末にようやく本題に入ります。それは、期間限定プロフィール顔写真を掲載しますよってことです。
エンドウさんの顔が見たいなんていう、極一部のマニアックな声援に応えて、今ならお顔を覗かせています。この時期というのが、アンチクリスマス的です。
まあ、そんな大層なものじゃないんですけどね。

このデジログへのコメント

  • えり 2005年12月25日 15:45

    写真を見れて大満足!!そう言えばえりに似てる一般人はかなり多いみたい。何処にでも居る顔?(笑)

  • エンドウ 2005年12月25日 19:42

    顔写真の掲載は終了しました。
    後姿を写したものに差し替えてあります。雰囲気ぐらいならわかるかも?

  • 瑞穂 2005年12月27日 19:06

    私もうっかり見逃しました~…残念。エンドウさん文章相当お上手ですよね!

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