趣味は読書、迷妄

もともと、色々なことに対して、不器用である。
全体を見渡して段取りを組むとか、計画を立てて行動するとかが苦手である。
新しいことを始める時、他人と自分を心の中で比べてしまう。
仕事を何度か変わったが、最初からうまくやれたことは、一度もなかった。
今の仕事も、辛い時期があり、本当に辞めようと思った事が何度かあった。

毎日、多少に関わらず本を読む。
新しい作家、新しい本を読むと、それに触発されて、感情的にその作家を全て読みたいとか、あれもこれも読みたいとか、思ってしまう。
目当ての本がなく、気まぐれに書店に立ち寄って、目に入った未知の作家を読んでみたくなる。
目に入った美味しそうなものを、全部食べたいと思うのに、似ている。
本を読み始めて、もう長い。
大抵の物事は、続けていれば、ある程度上手くなるものだが、読書は駄目である、
まず、早く読めないし、早く読んでも意味がない。
絵を見るのと違って、活字がイメージに変換されないと、読んだことにならない。
意味もわからずに、お経を誦じているのとは違うのである。
父が亡くなって、家に仏壇を買った。
毎日、朝晩お経を読んだ。
最初は経本を読みながら、そして、やがて憶えてしまい、経本を見ないでも唱えられるようになった。
憶えようと意識した訳ではない。
意味は全く分からないが、音としては、唱えることが出来る。
これに意味があるだろうか。
高校くらいまで、勉強といえば、暗記中心だった。
英単語、漢字、年号。
文系だったので、方程式や元素記号は早々に忘れたが、今から思えばあれは勉強ではなくて、基礎である。
考えるための手掛かりである。
今は、スマホやパソコンで、ほとんど何でも短時間で調べられる。
憶える必要がなくなった。
とまでは、僕は思っていない。
ある程度は、自分の頭に入れておく方が良い。
ボケないためにも。
こんなことを書く筈ではなかったが、このようになったようである。