男と別れさせる方法

知人Aのエピソード
いつもどおりフェイクあり。
おれがハタチくらいのときだ。

＿＿


Aの妹が兄に「友達が変な男と付き合っていて心配」と相談。

詳しく聞いてみると、友達彼氏は、夜中にバイクに乗って集団で集まる系の男の子。
それだけならいいんだけど、どこかのチームと喧嘩したとか、後輩の女にモテるとか、店から物を盗んだとか、まるで作り話か冗談のようなことをホントに言う人らしい。

A妹の友達が、それを素敵だと思って、忠告や意見に耳を貸さない。
周りの反対を、愛の試練、障害だと思い込んでいる様子。
彼氏の友達や仲間から姫扱いされてたのも離れられない理由だったかもしれない。

＿＿

サクサク話をすすめよう。

妹友達に思い直してもらうため、A妹とAがとった、贅沢な作戦。


妹友達を外食に誘う。
だけ。

と言っても、当時おれとAでよく行ってたロイヤルホストやジョナナンではなくて、普段行かないような夜景の綺麗なレストラン。
ほぼ毎週、数日おき、機会さえあればとにかく頻繁に。

おれがあとで聞いてちょっと羨ましかったのは内緒。


コース料理なんか頼んで、帰りは電車があるのにタクシー使う。


何度か食事をしたあと、妹友達がなんで誘ってくれるのかと聞く。
彼氏とはハンバーガーやカレーのお店くらいしか行かないし、こういうところに誘っても嫌がって来てくれないので正直嬉しかったと言う。

A妹さんが
「ゲームセンターやバイクのパーツ屋さんが悪いとは思わないけど、あなたはこういうお店のほうが向いてると思う。
今は楽しいかもしれないよ。でも将来、今の彼氏やバイクに乗ってる友達は、ホテルのレストランに連れてってくれるのかな」

「・・・」

「大人にになっても休暇にゲームセンターでいいの？
わたしはヨーロッパを周ったり、バリ島で過ごしたりできるよ。あなたもできるのに投げ出しちゃうの？
あなたはこっち側に来れる人なんだよ」



妹友達は何か感じることがあったのか、ほどなくして彼氏とは別れてその仲間とも縁を切った。

おれは悪役キャラのような嫌味ったらしい説得だと思った。


いいことだったかどうかわからないし、いま幸せなのかどうかも知らない。
ただ妹友達が、バイクの彼氏と別れることを選んだのだけは事実。　←バイクは悪くない。

このやり方は逆効果の可能性もあったと思う。
もしかすると就職氷河期だった時期だし、世相のいろんなマイナス要素も影響してたかもしれないな。

＿＿

すごくどうでもいい情報。

現在の知人Aは仕事ができて優秀だけど、30なかばで独身です。　浮いた話は聞いたことがない。
はっきり言いにくいけどそういうタイプ。
A妹はいろいろ兄に似てる。30代独身。



＿＿


20代前半の太った男女と冴えない感じの女が、ほぼ毎週高級レストランで食事をしてたっていうのは、今思うとちょっとシュール。

最初から最後まで別世界のようなお話でした。





＿＿