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久しぶりに官能小説ですよ

2011年06月01日 23:37

第一話

●甘い香りの先には…


  空気が澄んでいると真夕は思った。

  真夕は25歳になったのを機にIT企業に転職し、
  同時に引っ越しも遂げた。
  緑の多い遊歩道を歩きつつ、新たな地の環境の良さを実感する。
  メイン通りにはオシャレな雑貨屋家具屋などが立ち並んでおり、
  そのどれもが独自のこだわりを感じさせる個性的な店ばかり。
 
  ふと優しい甘い香りが鼻先をかすめた。
  香りの先には一件のカフェが建っている。
  近づくと、さらに濃厚な香りが真夕を包み込んだ。
  甘さだけでなく上品な香ばしさ。

  真夕は、何気なくカフェの中をのぞく
  えっ……?
  真夕は息を止める。

  ガラス扉越しに見えたのは、なんと若い男女のキスシーン。
  真夕が硬直していると、男性が気づいて一瞬こちらを見る。
  驚いてガラス扉から離れ、真夕はその場から走り去った。



  ●忘れられない視線


  真夕は、家に着いてからも動悸がおさまらなかった。
  思い出すまいとするほど、あのラブシーンがありありと浮かぶ。
  女性は背の高い男性の肩に手を乗せ優雅にキスを求める。
  男性は女の唇をふさぎながら腰に手をまわし……。

  首を激しく振る真夕。
  しかし、その夜真夕は眠れなかった。

  私が最後にキスしたのは……?
  元彼と最後にしたのが、もう1年半前。
  真夕は別れた恋人を思い出していた。
  右手は、いつの間にかショーツに伸びていく。

  ショーツ越しに自分を愛撫する真夕。
  すでに湿っている…。
  自然と指は中へ侵入し、漏れ出す蜜を掬っていた。

  とろとろの蜜を蕾全体にくるくる塗ると、
  とてつもない快感が押し寄せる。
  ゆっくり右の指を挿入し、左の指は口の中へ入れる。

  キスされながら硬いものがゆっくり入っていくのを想像をすると、
  大きな波が押し寄せた。

  「あ……」

  指の動きを早くすると、激しく求められる感覚がぐいぐい迫る。
  ……あっ……と声を上げ、真夕は果てた。

  絶頂寸前に頭に浮かんだのは、元彼ではなかった。
  妄想の中で真夕を抱いたのは、
  なんと一瞬目が合っただけの、あのカフェの男性だったのだ。



  ●偶然の再会


  翌日、真夕は仕事を終え自宅までの道を歩いていた。
  家に帰るにはあのカフェの前を必ず通らなければならないが、
  真夕はその前を通りたくなかった。

  昨夜の妄想を思い出し顔が赤らむ。
  顔を伏せた瞬間、真夕は軽く肩をたたかれた。

  えっ……?

  振り向くと、昨夜の淫らな妄想の中に入ってきた
  あのカフェの男が立っていたのである。


-------------------------------続く----------------------------

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