シノヤマキシン

大分前のお話しですが。

古本屋さんのＳＡＬＥ棚をごそごそしていましたら、
お堅い本、辞書、デザイン書と並んで、写真集の一角が。
ずらりと並ぶ大判の前には、ひなびた小父様。
年代モノのグラビアですな。

写真という視点で見ると、ヘアヌードだろうとゲイだろうと、
恥じらいもなく立ち読みしておりますが、
これは私めなどのログをよく読んで下さるような皆様なら、
ごく分かりやすいことかと存じます。

日に焼けた数冊を眺めていると、
「篠山紀信」のお名前が。
モノクロの、80年代な顔立ちの女性のヘアヌードでした。
失礼ながら、私の氏に対するイメージは、
所謂カストリの袋とじ、「シノヤマキシン」のイメージしかなかったのです。
見たこともないくせに、若干軽侮しておりました。

興味本位で頁をめくると、そこには完全なる、
『女と寝るの時の、男の視線』がありました。

男のつもりで女性を抱いた経験はございませんが、
布団の上の女のどこを見ているか、
抱かれる時の女は、どんな顔で男を見るか、
とてもリアルに感じられる写真でした。
過剰な演出も意図もなく、
それはただただ、恋人か情人を見る男の視線。


イメージ先行の愚を恥じた一件。
他の写真は見たことないですが、
売れるだけのことはあるんでしょうね。

その写真集は欲しかった。買いそうになりました。
でも止めました。
置き場所に困るから。