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花火~2『愛の流刑地』下巻より

2009年11月20日 00:09

花火~2『愛の流刑地』下巻より

いままで、仰向たまけに横たわっていた女体を上から見下ろすのとは逆に、今度はか細い女体が一糸まとわず男の上に君臨している。その逆転した違和感菊治欲望を刺激し、局所がたまらず動き出す。

前後に、そして上下にと、それは女の側からみれば、夜空に打ち上げられる花火に似て、いきなり下から「どどん」と突き上げられ、前後に揺すられるのと変わらない。

それをまともに受けて冬香はたちまち狂ったように暴れだす。

「だめ」といい「やめて」と叫びながら髪を振り乱し、丸い腰は大きく弾み、右に左に夜空に花開く花火のように揺れ動く。

そのうろたえぶりが可愛くて、菊治はさらに二の矢、三の矢と花火を打ち続け、それに応じて、すでに燃え上がっている子宮の奥に、第二波、第三波の歓喜の波が押し寄せるのか。

休む間もなく続けるうちに、もはやこれまでというように、冬香は大きくのけ反り、次の瞬間、花火の川が音たてて夜空を落ちてきたように、全裸冬香菊治の上に、「いくう」という叫びとともに倒れこんでくる。

最後の花火子宮を貫き歓喜の波が女体を駆け巡っているか。
夜空に花火のあとの静寂が訪れるように、いまは菊治の上に冬香がぴたと重なり、ともに死に絶えたように微動だもしない。

花火を見た興奮が尾を引いているのか、ずいぶん激しく果てたものである、

それにしても、このか細い女体のどこに、これだけのエネルギーが潜んでいるのか。不思議な思いで、細い肩口に触れていると、冬香がつぶやく。
「あなたって、凄い人だわ」
「すごい?」

「まだざわざわと、全身から指先まで、
血が流れているのがわかるの」

激しく果てたあとの感覚とはそういうものなのか、

菊治が鎖骨の窪みを見ていると、

「こんな身体にされちゃって」
それは恨んでいるのか、それとも甘えていっているのか、
わかりかねていると、冬香の手がするすると伸びてきて、菊治の気持ちを探るように、左の胸の心臓の上にのせられる。

「でも嬉しいの、あなたのおかげで、どんどん変えられて、違う自分になって。女って、そういうものだわ」

そんなふうに考えてくれると、菊治は嬉しい。

「よく好きになると、自分がなにもなくなるというけど、
それが好きになるということでしょ」究極の愛が無私だとすると、冬香はそこまで達したということか。

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