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輪廻・4

2006年04月21日 08:49

夜が明け
2人はまだ夢でも見てるような感覚でいたが少し彼女がおかしいのに気がついた
「どうした、大丈夫か」
「いえ、別に」と答えたがやはりオカシイ
まるで何事も無かったように普通に仕事をし始めた
昨日の夜の事を完全に忘れてるようにごく普通に事務をとっている、
俺はその方が都合が良いと思い、それ以上突っ込まなかった、
あれから俺の周りは一変した、だんだん昔に戻っていくような感覚にとらわれて行く、あの苦しかった時代に、別に金は大丈夫だが、何か脅迫観念と言うか、得たいの知れない恐怖感を感じ出した

また事務所を変えようかとも思った、
「近いうちに事務所を広めのところに変えようかと思う」と彼女に言った
「そうですね、ここも狭くなって来ましたから」
「でもあれはどうするんですか」と彼女が指差す方を見ると柱の一本で何も無いところだった
「何が、どこに」
そこには何も無い、ただ壁だけだった
「ほら、そこですよ」
「どこだ」ともう一度見ると、俺は体が凍りついた
今までただの壁が奴の姿に変わっていた、それもニヤニヤしながら
「ううぇえ~」俺は奇妙な声を出しながら表に走ったがドアーが開かない、まるで釘でも打ったようにびくともしない、
後ろから彼女が俺の肩を摑んだ、しかも人間とは思えない力で、俺は痛みより恐怖でイッパイだった、思い切り部屋の真ん中へ引き倒され、上から彼女が、いやあいつが首を絞め言った
「ここままで居られると思うなよ。お前を俺と同じ目に合わせる」男の声で言った
俺は首を摑まれたまま引きずられ壁まで連れて行かれた、
そして壁に押し込まれた、入るわけが無いと思った、
次の瞬間、暗い底に落ちていった
何も見えない、見えるのはただ奴の姿だけだった
「俺を許してくれ、悪かった」と叫んだが聞いてはくれない、ただ恨めしいそうな目で俺を見てるだけだった、
「金は何時だ、返済は終わってないぞ」
「必ず返す、いや絶対返す」
「だがモウ遅い、俺は居ない、だからお前にこっちに来て貰った
こっちでお前の命と引き換えに払って貰う」
「いやだ~勘弁してくれ」と言ったが聞く相手では無かった
俺は逃げようとしたが脚が動かない、良く見るともう膝までコンクリートで埋まってる、ソンナ馬鹿なと思っても動かない、量が段々増えてもう胸まで来た、この分だと後数分で俺は窒息してしまう、
もうあごまで来た、顔を上に向けても無駄だった
ああwwもう真っ暗になってきた、息が出来ない
これも因果応報かと思いながら意識がなくなって来た

「会社社長」原因不明の自殺
建設中のビルのコンクリートに飛び込で
窒息死

「今度私がここを任されました、よろしくね」

若い女性が新しい入社した子たちに挨拶をした
ドアーを出ながらにやりと笑う顔は奴に替わって行った・・・



                   END

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